受託製造企業、活発な設備投資(2019.7.25)
アピ 岐阜県内に物流拠点 健康食品専用 品質保証部を併設
健康食品・医薬品受託製造のアピは、7月8日までに健康食品専用の物流センターを岐阜県内に竣工した。県内に点在する同社工場で生産した最終製品を集約できる独立物流拠点として運用する。それに併せて完成品の品質保証部(クオリティセンター)を新施設に移し、物流体制と検査体制を一体化する。施設建設のために36億円を投資した。
新たな物流拠点「アピクオリティ&ロジスティックスセンター」(QLC)は、岐阜県本巣市内に竣工した。岐阜市内の本社や、揖斐川町にあるネクストステージ工場など同社の各工場から車で30分以内の距離。昨年10月に着工し、約1万4690平方㍍の敷地内に地上4階建、鉄筋コンクリート構造の施設を建設した。延床面積は約1万9285平方㍍、最高高さは約24㍍。
QLC竣工にあたりアピの野々垣孝彦社長は「お客様のご要望に迅速にお応えできる物流環境を提供できるようになり、当社の付加価値をさらに高めていけるものと考えている」とコメント。本稼働は9月以降となる予定だ。
QLCの物流センター機能については、情報システムをフル活用する「自動倉庫」として設計した。運搬や荷役を行うマテハン機器と情報システムが自動連携できるようにし、人が携わる作業を極力無くした。これにより、人為的なミスを削減するとともに、省力化・省人化を図った。
セキュリティの面についても、登録車両のみを構内立ち入り可能とする車両管制システムを導入するなどして、従来よりもフードセキュリティ能力を高めた。
また、品質保証機能については、本社併設のクオリティセンター(品質保証部)から全ての検査用設備と人員をQLCに移す。これにより、関係各部署との連携をこれまで以上に強化する。同時に、完成品の品質保証に関わる案件に迅速に対応できるようにする。
アピではこれまで受託製造した健康食品の物流拠点を県内の揖斐川工場に集約させていた。ただ、段階的に進めてきた各工場の生産能力増強に加え、14年、次世代基幹工場としてネクストステージ工場を稼働させたことで、生産アイテムや生産量が増加。そのため、より規模の大きな物流拠点を建設する必要に迫られていた。同社の18年8月期売上高は前年同期比12%増の366億円と過去最高を計上している。
アムスライフ 中国に初の生産拠点 来年着工 健食・化粧品を製造
AFC‐HDアムスライフサイエンスは中国の浙江省杭州市に健康食品、化粧品などを製造する新たな生産拠点を設ける。今後の高需要が見込める中国内需に対応するためで、立地を生かして東南アジア市場の顧客も獲得したい考えだ。2020年中に着工し、第1期工事を終える21年初頭に初期稼動する予定。投資額は明かしていない。同社として海外の生産拠点は初となる。
同社が11日発表した。中国での新工場は、現有の国吉田工場(床面積約1万平方㍍)の2倍程度の規模を想定。打錠品やカプセルなどの健康食品や、美容液など化粧品を生産していく予定で、今後、現地需要をマーケティングした上で、導入する機械設備を決める方針。また、海外事業部で進めているベトナムやマレーシアなどのOEM顧客の製品についても、新工場で対応していくことを検討している。
同社によると、中国では医薬品の購買が多いものの、健康食品についても需要が高まりつつあり、現地の内需拡大を見込み、生産工場建設を決めた。
同社の海外事業の業績は、主軸のOEM事業とともにここ数年伸長を続けている。シンガポールやベトナムなど東南アジア諸国における美容健康食品を中心したOEM受注が好調で、18年8月期の売上高は対前年比12.5%増の8億2500万円を計上していた。
今回の新工場設立にあたり、杭州経済技術開発区に100%出資(資本金1億円)の現地法人を5月14日に設立している。新会社の代表には、同社・淺山雄彦代表が就く。
【左写真=QLCの外観。4階建てで1~3階が立体倉庫】