花王 特保油、ヘルシアで申請 食安委で審議スタート(2019.7.25)
花王が7月3日までに特定保健用食品(トクホ)の表示許可を消費者庁に申請した食用油について、商品名に『ヘルシア』が掲げられていることが分かった。同社の今回のトクホ申請は、油脂中のグリシドール脂肪酸エステルを巡る健康リスク報道などを受け、2009年にトクホの失効届を行った食用油『エコナ』の復活を期したものとみられる。ただ、過去と同じ製品名称の使用は避け、同社を代表するヘルスケア食品ブランド名の下で再起を図る構えだ。
消費者庁は今月3日、花王が申請した食用油4製品のトクホ表示許可に関する消費者委員会への諮問を行い、公表した。同庁では商品名称を開示していないが、4製品共通で『ヘルシア サッと健膳』であることが分かった。申請したのは『ヘルシア サッと健膳 プレーン』『同 プレーン ボトル』『同 レモンオリーブ風味』『同 レモンオリーブ風味 ボトル』──の4製品。
関与成分として申請したのは、4製品共通でα‐リノレン酸ジアシルグリセロール(α‐リノレン酸として)という脂質。以前のトクホ『エコナ』シリーズが関与成分としていたジアシルグリセロールに極めて近い脂質だが、厳密には異なるものとみられる。原料に関しても以前とは異なるとされる。
申請したヘルスクレームも以前とは異なる。以前の『エコナ』では、食後の血中中性脂肪の上昇を抑え、体に脂肪がつきにくい働きを保健の用途としていたが、新たに申請した4製品では、「食べた脂肪を消費しやすくし、血中中性脂肪を減らすのを助ける」働きに加え、「たまった脂肪を減らすのを助ける」働きを保健の用途として申請。これにより、内臓脂肪が多めの人▽BMIが高めの人▽血中中性脂肪が高めの人──に提案していきたい考えだ。
同4食用油のトクホ表示許可を巡る審議は、消費者委員会に先んじて食品安全性委員会で健康影響評価が先月スタート。6月13日、食安委の新開発食品調査会で非公開での審議が行われた。結果、継続審議となったものの、トクホの表示許可手続きで継続審議となることは特段珍しいことではない。近く、消費者委員会の新開発食品調査部会・新開発食品評価第一調査会でも審議が始まる見通しだ。
花王がトクホ『エコナ』全製品の失効届、加えて関連全製品全ての製造販売を自粛してからしばらく経った2015年、機能性表示食品制度が施行された。成長途上で取り止めざるを得なかった健康油事業の再起を図るのであれば、トクホよりもスピーディに発売できる同制度を活用する方が効率的だったといえる。だが、トクホとして、有効性、安全性ともに国に承認される道を選んだ。
花王では、「エコナ」のトクホ失効後、グリシドール脂肪酸エステルを大幅に低減する製法を完成していることを公式サイト上で報告。2015年3月には、「『ヘルシア』を軸としたビバレッジ事業の強化とともに早い段階でフード事業を再開させる予定」だと澤田道隆社長(当時)が表明していた。
また、新たにトクホ許可を申請した食用油4製品で関与成分としているα‐リノレン酸ジアシルグリセロール安全性・機能性については、これまでに多くの研究成果をまとめている。細胞・動物などの基礎的な安全性試験をはじめ、健常人を対象に同成分の有効摂取量の5倍量である1日12.5㌘摂取しても問題ないことを確認したという。機能性に関しては、内臓脂肪面積や体重の低減、血中中性脂肪低減を臨床試験で検証した論文を発表している。