厚生労働白書 生活習慣病「予防が可能」「自らの健康に責任を」(2019.7.25)
厚生労働省は7月9日、2018年版の「厚生労働白書」を通常よりも大幅に遅れて公表した。通常はその年の秋から夏にかけて公表するが、昨年夏に発覚した中央省庁による障害者雇用の水増し問題などを受け、年を跨いで公表する異例の対応となった。白書の冒頭には、雇用水増し問題をはじめ統計不正問題に対する反省とお詫びが盛り込まれた。
厚生労働白書は、厚生労働行政の現状や見通しをまとめたもの。18年版のテーマは「障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に」とした。
今回の白書のうち、「病気を有する者などの現状と取り組み」では、病気を抱えながらも治療状況、症状に応じて就労を継続することは、企業の継続的な人材確保や生産性向上はじめ「我が国の経済活力の維持、社会保障の支え手となるという観点からも重要である」という視点を提示。その上で、日常生活や就労への支障が生じうる病気としては、がん、循環器疾患、糖尿病など生活習慣病の割合が多いとし、寿命延伸の観点からは「これら生活習慣病の発症・重症化予防を図ることが重要だ」と指摘した。
また、生活習慣病は「生活習慣を見直すことで、ある程度予防することが可能」との見方を提示し、「日頃から各人が健康の大切さを認識し、自らの健康づくりに責任を持って取り組むことが大切」だとしつつ、国、医療機関、保険者などが国民をサポートしていくことが重要だと指摘。その上で行政としては今後、「健康格差」を解消することで「2040年までに健康寿命を3年以上延伸し、平均寿命との差を縮小する」ことを目指すとした。
健康格差とは、「地域や社会状況の違いによる集団における健康状態の差」と定義される。白書では、それを解消する手立てとして、介護・フレイル予防(介護予防と保健事業の一体実施)、疾病予防・重症化予防(がん対策・生活習慣病対策)──など3つの重点取り組み分野を設定した上で、地域間格差の解消の他、「健康無関心層も含めた」予防・健康づくりの推進といった2つのアプローチで格差の解消を進めていくとしている。
なお、今回の白書には、「100人で見た日本」という、日本を100人の国に例えた統計データも付けられた。それによると、生活習慣病の患者数は、がんと心疾患が各1.4人、糖尿病が2.6人、脳血管疾患が0.9人、高血圧性疾患が7.8人に上った。
また、健康状態が「よくない」「あまりよくない」と感じている人は6歳以上で13.0人、日常生活の悩み・ストレスを感じている人は12歳以上で47.7人と半数近くに上った。一方で、習慣的に運動している人は20歳以上で30.6人だった。