三菱ガス化学が提案「アンチエイジングの本質」スポーツにも有効
(2019.7.25)
認知機能サポート成分として国内市場では認知されているPQQ(ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩)について、エネルギー産生に必須となるミトコンドリアを増やす働きにもっと注目して欲しいと、三菱ガス化学が訴えている。ミトコンドリアが減少したり、その機能が低下したりを抑制するのが「アンチエイジングの本質」だと主張。PQQは、認知機能のみならずフレイルやサルコペニアにも対応できるとしている。
三菱ガス化学はPQQ(試薬)の製造を1980年代に開始。以降の研究開発の過程では、2000年代初頭に新規ビタミンB群である「可能性」が国内研究者から提唱されたのをはじめ、抗酸化機能▽細胞増殖機能▽神経保護機能▽脳機能改善機能──など多様な働きを持つ可能性が示唆されてきた。その中の一つにミトコンドリアの新生(増加)および活性化機能がある。
国内市場に先駆けて08年からサプリメント向け原材料(製品名=Bio PQQ)として販売が始まった米国市場では、「Supports Optimal Mitochondrial Biogenesis」(最適なミトコンドリア新生をサポート)などとして、ミトコンドリアを増やす機能を表示(構造機能表示)する最終製品が少なくない。一方、15年から販売が始まった日本では、同社の販売戦略と市場ニーズが影響した面も大きいが、脳機能サポートに着目した製品が大半を占める。
同社によると、細胞内のミトコンドリアを増やし、エネルギー産生を高める機能をPQQが持つことは、これまでの基礎研究でほぼ確実視されており、その分子メカニズムまで明らかになっているという。
まず、PQQは細胞内のNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の濃度を高めることなどによりミトコンドリア新生を誘導する。
また、グルコースがエネルギー(ATP)に変換されるメカニズムについては、①細胞質内で行われる「解糖系」②ミトコンドリア内で行われる「TCAサイクル」③同じくミトコンドリア内での「電子伝達系」──の3段階を経ることが知られる。
このうち、②と③がエネルギー産生の役割の多くを担うが、解糖系で作られるピルビン酸は、NADH(還元型NAD)が高い状態では、TCA回路まで流れず、乳酸に変換される経路に逸れてしまう。しかし、PQQには、乳酸からピルビン酸への代謝を促す機能があるといい、これによりエネルギー産生のロスを減らし、より効率的にエネルギーを産生させる。その上で、PQQは抗酸化物質でもあるため、ミトコンドリア機能が活性化されると同時に発生する性酸素(フリーラジカル)を打ち消すという。
「ミトコンドリアの主な機能はエネルギーの合成。その機能が低下すれば、エネルギー産生が低下する。その結果、筋肉量や身体能力などが低下し、サルコペニアやフレイルに繋がる。運動をしたくてもエネルギーが足りないからだ。認知機能の低下とも関連するだろう。その意味で、ミトコンドリアの機能低下を抑えることがアンチエイジングの本質。PQQにはそれを抑える機能がある」
三菱ガス化学のライフサイエンス部ではそう語り、日本も米国のように、ミトコンドリアの重要性に関する一般認知を高める必要があると訴える。
同社としても今後、ミトコンドリアの役割の普及啓発に取り組む計画だ。また、ミトコンドリア新生機能に着目した臨床試験を新たに実施することも検討している。高齢者のサルコペニア予防に関連した検証を行い、機能性表示食品市場でPQQを展開していくことを目指す。
さらに、ミトコンドリア新生に伴うエネルギー産生の向上は、運動パフォーマンスとも密接に関わることから、スポーツサプリメントへのPQQ配合提案も強化する。その一環として、アンチドーピング認証を取得した最終製品をアスリートに幅広くサンプルワークし、機能を実感してもらう。そうすることで、スポーツ界に対しても、ミトコンドリアの役割の重要性を伝えていきたい考えだ。