ファンケル、キリンと資本提携 (2019.8.8)

ファンケル、キリン①

 ファンケルとキリンホールディングスは8月6日、資本業務提携を締結したと発表した。同日夕方に開いた記者会見で、ファンケルとキリンHDが持つブランド力や技術などでシナジーを創出し、新たな領域の商品開発を進める方針を公表した。酵母技術を活用した化粧品の開発や、脳機能、フレイルなどに関わるサプリメントの開発などを推進していく考えだ。

 今回の提携では、キリンHDがファンケルの株式をファンケル創業者の池森賢二会長及び池森氏の親族、資産管理会社などからそれぞれ相対的取引で約1100万株、総額1293億円で譲り受ける。株式取得日は9月6日を予定。これによりキリンHDは33.0%の株式を保有し、ファンケルの筆頭株主になる。ファンケルはキリンHDの持分法適用会社になる予定。キリンHDはファンケルに取締役を3名派遣する。

 提携の背景として、健康や美容などの領域において目指す方向が一致していることや、ファンケルの「『美』と健康」、キリンHDの「医と食をつなぐ事業」などの事業領域が補完できるとしている。また両社のブランドや、キリンHDの発酵・培養技術、ファンケルの無添加技術などの強みを生かし、飲料や食、スキンケアなど幅広い領域での商品の提案が進められるとしている。キリンHDの持つ自動販売機チャネルや、ファンケルの直営店など販売網も活用する。

 今回の提携についてファンケル池森会長は、「厳しい業績から復帰し、ようやく売上を大きく伸ばすことができた」といい、今後の市場環境を見定めるなかで最良のかたちで会社を維持・成長できる方策を探っていた。信頼できる、託せる会社としてキリンHDを選定したという。今回の提携については、池森氏からキリンHDに打診した。

 キリンHDは、2021年までの中期経営計画のなかで、食領域と医領域の中間として、独自の「医と食をつなぐ事業」を育成するための事業再を進めてきた。

 今年1月には協和発酵バイオを直下の事業会社に組織再編するなどし、同事業の拡充を推進している。
【写真=記者会見後に握手する(左から)ファンケル島田和幸社長、ファンケル池森賢二会長、キリンホールディングス磯崎功典社長】

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