DgS業界大再編 ココカラ、マツキヨ選ぶ (2019.8.22)
ココカラファインが選んだのは、マツモトキヨシホールディングス――。今月14日にドラッグストア売上高業界7位のココカラファインが、同5位のマツモトキヨシホールディングスと経営統合に向けた協議を開始すると発表した。同6位のスギホールディングスを交えたココカラの争奪戦はマツキヨに軍配が上がった。最終的な結論は今後の協議次第だが、経営統合成立なれば、DgS業界の勢力図は大きく変わり、売上高1兆円に迫る連合体が誕生する。
ココカラファインは、6月に設置した有識者からなる特別委員会からの報告を今月7日に受け、14日に開いた取締役会で協議して決めた。委員会からの検討結果の報告でも、マツモトキヨシホールディングスを推していたという。ココカラがマツキヨを経営統合先として選んだ理由として、店舗作業の効率性やプライベートブランド商品の開発などで大きなシナジーが効果が得られることなどを挙げている。
ココカラの発表から2日後の16日、ココカラ、マツキヨ両社による経営統合に向けた協議開始に関する覚書を締結したことも発表。今後、経営統合の実現に向けた準備委員会を設けて協議を進め、2020年1月末を目途に結論を出す方針だ。
両社の今回の経営統合を巡っては、今年4月末に、資本提携に向けた協議を開始することを発表していたことに始まり、その後、マツキヨ側から経営統合に踏み込んだ新たな提案を打診されていた。4月末のマツキヨとの資本提携に向けた協議開始の発表後の6月に、スギホールディングスからも経営統合の提案を受けていたが、最終的にはマツキヨを選んだかたちだ。一部メディアでは、マツキヨのPB商品に自社にはない開発力を感じたなどと報道している。
ココカラ、マツキヨの直近の売上高はそれぞれ4006億円(2018年度)、5760億円(18年度)で、単純合算すれば9766億円になり、経営統合が実現することになれば、現在売上高7824億円で首位のツルハホールディングスを抜きDgS業界の首位に躍り出る。連合体とはいえ、17年に首位陥落したマツキヨが返り咲くことになる。
店舗数も大幅に膨らみ、ココカラの1357店(7月末時点)、マツキヨの1672店(8月9日時点)を合わせると3000店を超える規模になり、こちらもツルハの2081店(8月15日時点)を大きく引き離す。
DgS業界の売上高上位企業は、ココカラ、マツキヨの経営統合を前提にすれば、2位が前述のツルハになり、3位がウエルシアホールディングス(7792億円)、4位コスモス薬品(6111億円)、5位サンドラッグ(5760億円)が続くかたちになる。
ここ数年のDgS業界は、大手が地方の中小のDgSをM&Aなどで取り込み、規模を拡大させてきた経緯がある。各社の出店も旺盛で、全国に2万を超える店舗数に拡大するなど、業界全体の売上高も7兆円を突破するほどの規模に成長してきた(日本チェーンドラッグストア協会調べ)。
一方で、都市部における出店エリアの重複による店舗自体の飽和感も伝えられ、DgS上位企業の業績も以前よりは伸びが鈍化、出店計画未達による収益低下などに至るケースも少なくない。
今回のココカラとマツキヨの経営統合が、DgS業界にどのような影響を及ぼすのか。伸び悩みがささやかれるDgS業界を底上げする何らかの契機になることを期待したい。
【写真=売上高1兆円規模の連合体が誕生する】