飲料事業で新規領域 日本コカ・コーラ(2019.8.22)

スモールマス①

【写真=「CHILLOUT」、エナジーではなくリラクゼーションを訴求する。1本185円(税別)】

 日本コカ・コーラは、新興企業のI‐ne(アイエヌイー、大阪市中央区・大西洋平社長)と連携し、飲料事業で新規領域を掘り起こす。8月5日に発表した。「まだ市場に存在しない新しい価値の想像」を目指すとしており、この動きについて日本経済新聞のウェブ版は、「年齢や性別を絞った『スモールマス商品』を強化する」(8月2日付)と報じた。

 日本コカは、アイエヌイーが7月1日付で設立した合同会社Endian(エンディアン)に出資する。出資率は非公開。エンディアンではまず、アイエヌイーが2016年に開発した「リラクゼーション」を訴求する清涼飲料水『CHILLOUT』(チルアウト)の販売を、今秋から引き継ぐ。

 チルアウトは、ヘンプシードエキスはじめテアニン、GABAなどを配合し、「飲んでリラックスすることでパフォーマンス向上をサポート」するなどとアピールされている清涼飲料水。機能性表示食品ではない。オンラインやナチュラルローソンなどを通じて販売されており、日経によると、ビジネスパーソンなど「客層を絞ったマーケティングが特徴」(同)で、アイエヌイーでは「一部から熱狂的な支持を得ている」としている。

 日本コカとアイエヌイーは今後、新会社を通じて、トレンドの半歩先を行くブランド・製品・事業の立ち上げ▽デジタルプロモーションやECを活用した事業の高速育成と検証▽スピード感を持った製品の改善──を軸として事業展開を進める方針。チルアウトのような特徴を前面に出しつつ、一定の客層に訴求する清涼飲料水を開発することが予測されている。

 アイエヌイーは、同社ウェブサイトによると、モバイル通販事業とインターネット広告代理事業を目的に2007年設立。一方、15年にネット通販で発売した「ボタニカルライフスタイルブランド」を掲げるシャンプー『BOTANIST』がヒットし、ドラッグストアやスーパーなど店頭にも販路を大きく広げた実績がある。インスタグラムなどSNSに着目したプロモーションを展開した。

 スモールマスとは、不特定多数に提案する、従来の量産型マス向け商品の対局に位置付けられるマーケティング概念。マスではないものの一定の市場規模が見込める、消費者の多様な趣味・嗜好に合わせた商品市場などと定義されるもので、花王が2015年ごろから提唱し始めたと言われる。

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