治療効果表示に優良誤認 成分広告にメス(2019.11.7)
健康食品『ブロリコ』を販売するイマジン・グローバル・ケア(東京都港区、木下弘貴社長)に対し、消費者庁は11月1日、景品表示法に基づく措置命令を行い、発表した。同社が2016年11月から今年1月下旬まで、自社ウェブサイトや冊子などで行っていた同製品にかかわる表示を優良誤認と認定。「本件商品を摂取するだけで、免疫力が高まり、疾病の治療又は予防の効果が得られるかのように示す表示をしていた」と判断した。
今回、消費者庁が景表法違反(優良誤認)と認定したイマジン社が行っていた表示は、直接的には最終製品ではなく、含有成分に関するものだ。
処分対象商品となったイマジン社の健康食品『ブロリコ』は、ブロッコリーから抽出したとされる成分を配合したもので、同社ではこの成分を「ブロリコ」と称しており、消費者庁が今回違反認定した表示媒体は、成分としてのブロリコや、免疫の低下が招く疾患などについて情報発信する同社のウェブサイト「ブロリコ研究所」をはじめチラシ、冊子だった。
いずれの表示媒体にも最終製品としてのブロリコの商品写真は掲載されておらず、また、表示媒体を通じて消費者が同製品を直接購入できる仕様にもなっていなかったが、同庁は、「それぞれが本件商品(最終製品ブロリコ)の表示として景品表示法上(不当表示と)認定し得る」(表示対策課)と判断し、措置命令に踏み切った。
消費者庁の調べによると、イマジン社は、「免疫力を高める方法についての情報」を伝える自社ウェブサイト「ブロリコ研究所」を通じて、成分としての「免疫力を高めるブロリコ」に関する資料を請求した一般消費者に、「免疫力を高めるブロリコとの出会い」などと題した冊子や、「免疫力の低下をあまく見ては、いけません!」「病気を予防したいあなたへ」などと啓もうするチラシを送付。この際、最終製品としてのブロリコの注文はがき付きチラシや、同製品の無料サンプルも送付していたという。
最終製品そのものではなく、含有成分に関する広告表示を最終製品の表示と見なし、景表法違反と認定して措置命令まで行う事例は今回が初とみられ、消費者庁では、これまでに「おそらく、ない」(表示対策課)とコメントしている。最終製品とは切り離す形で含有成分の機能性等を広告宣伝し、その上で最終製品の販売につなげる健康食品の販売手法に、いよいよメスを入れたといえそうだ。
消費者庁は、景表法の不実証広告規制に基づき、表示の裏付けとなる合理的根拠を示す資料の提出をイマジン社に要求。同社は資料を提出したが、同庁は景表法の要件に照らし、表示の合理的根拠を示す内容とは認めなかった。同庁は、同社から提出された根拠資料の中身を明らかにしていない。
ブロリコの免疫に対する機能を巡っては、「ブロッコリー抽出加工食品(ブロリコ)の継続摂取によるヒトの自然免疫賦活作用に関する試験」と題したイマジ社の木下社長を筆頭著者とする論文が12年、「薬理と治療」に掲載されており、ヒト自然免疫を増加させる可能性が示唆されたと報告している。
ただ、このヒト試験はRCT(ランダム化比較試験)ではなかった模様。また、試験食品とされたのはブロリコを配合した飲料で、実際に販売している最終製品の形状(打錠や粉末)とは異なっていた。
【イラスト=消費者庁が優良誤認表と認定した表示媒体の一部。あくまでも成分について情報提供するもので、商品写真等は掲載されていないが、商品の表示と判断された】