備前化成が新たな製剤技術 溶出制御できる新錠剤 (2019.12.26)
配合した機能性成分の溶出スピード(タイミング)を消化管内でコントロールできるタブレットの製剤技術を、健康食品OEM・原材料販売の備前化成が新たに開発し、提案を進めている。摂取した機能性成分が消化管の適切な場所に届くようにすることで、その成分の体内での機能発現を最適化させることを目的に開発したもの。特定のコーティング剤と溶出制御剤を組み合わせることで実現したという。
備前化成は、新たに技術開発した製剤を『B‐ReC(ビーレック)錠』と名付け、現在、特許と商標をそれぞれ出願中。ビーレック錠の溶出制御機能は、これまでにinvitro試験を通じて確認しているが、今後、実際にヒトの消化管内でも同様に溶出コントロール機能が発揮されるかどうかを検証するヒト試験を実施する計画だ。早ければ来春までに試験結果を公開したい考え。
同社によると、ビーレック錠は、日本薬局方で規定された崩壊試験第1液(pH1.2)で4時間以上の耐酸性を持ち、同第2液(pH6.8)では、溶出制御剤の種類や量を調整することで、0.5~12時間の範囲で溶出時間をコントロールできる。
これにより、消化管のうち最初に通過する胃で胃酸の影響を受けないまま小腸、あるいは大腸まで到達させることを可能にした。溶出時間を制御する製剤技術としては腸溶製剤が知られるが、ビーレック錠はそれとは異なり、小腸以降での溶出時間も含めて制御できることが最大の特長だという。
たとえば、水溶性ビタミンなどをサプリメントとして摂取すると、通常の製剤では血中濃度が急激に高まり、短時間で尿中に多く排出されてしまう場合がある。この現象は、消化管内での溶出スピードをゆっくりさせることで解消可能で、体内利用効率も高まる。また、腸管免疫を活性化させる働きが報告されている機能性成分は、パイエル板が多いとされる回腸(小腸下部)まで届けることで利用効率が高まると考えられるが、これも、当該成分が胃や空腸(小腸上部)を通過して回腸付近で多く溶出されるように制御することで可能になる。
こうした「溶出コントロール機能」をタブレットに付加することで、各種の栄養・機能性成分の体内利用効率の最適化を可能とする「デリバリーシステム」機能を持つ製剤として、備前化成はビーレック錠を開発した。
今後、ビーレック錠に配合する個々の成分や素材の相性も検証しつつ、OEMの相手先顧客の要望も聞きながら、「オーダーメイド」に近い形で最終製品開発を進めていく方針。機能性表示食品に応用していくことも視野に入れている。