特保公正規約、4月開始か 下田理事長が強い意欲(2020.1.23)
特定保健用食品(トクホ)の公正競争規約の運用が、来年4月からの新年度早々にも始まる可能性がある。協会幹部によると、施行規則なども含めて規約の中身は既に固まっている。別の複数の関係筋からは、早ければ来月にも消費者庁が意見募集を開始するとの観測もあがっている。
昨年からトクホ公正競争規約の作成作業を本格化させていた日本健康・栄養食品協会は1月17日、新春賀詞交歓会を都内ホテルで開催。登壇した日健栄協の山東昭子会長、下田智久理事長は共に、4月早々の運用開始に向けて意欲を示した。下田理事長は、4月1日からでもスタートさせたい意向。規約を運用する公正取引協議会の設置準備も終わっているとする。
公正競争規約は表示等に関する業界自主ルールだが、パブコメや公正取引委員会及び消費者庁長官の認定を経て最終的に策定される。下田理事長は乾杯挨拶に登壇し、「皆さま方と一緒になって、健康食品業界の発展に努めていきたい」と挨拶。公正競争規約については「国民に対する情報公開や信頼度の発展に寄与する」と述べ、その意義の大きさを訴えた。
下田理事長はまた、機能性表示食品の公正競争規約に対する意欲も示した。昨今の市場を取り巻く環境を踏まえれば、業界に望まれるのはトクホよりも機能性の公正競争規約だろう。
機能性の公正競争規約は、昨年から策定に向けた作業が進んでいる。対応に当たっているのは、日健栄協を含む業界7団体が正会員団体を構成する健康食品産業協議会のほか、日本通信販協会、日本抗加齢協会、日本チェーンドラッグストア協会の4団体。関係団体が初めて連携した形だが、下田理事長は昨年10月、日健栄協独自に策定作業に取り組みたい考えを協会会員企業に伝えていた。
ただ、下田理事長はこの日、機能性表示食品の公正競争規約の作成について「6団体と協力しながら進めて参りたい」と発言。独自路線から関係団体との協業体制にシフトしていく姿勢を一応示した。
日健栄協賀詞交歓会 機能性食品「育成したい」 厚労審議官が来賓挨拶
日健栄協の賀詞交歓会には厚生労働省医薬・生活衛生局から浅沼一成審議官(生活衛生・食品安全)、消費者庁からは橋本次郎政策立案統括審議官が来賓として臨席し、それぞれ挨拶した。健康食品の規制当局と見られている厚労省の幹部ながら、浅沼審議官は健康食品産業を育成したい意欲を語り、会場の業界関係者を驚かせた。
浅沼審議官は挨拶の中で、「健康食品、機能性表示食品、特定保健用食品など健康に役立つ食品の育成にも励んでいきたい」と述べた。
また、「我々にとって何が一番大事かと言えば健康だ。特に食を通じた健康づくりが大切。食による健康について専門家はバランスのよい食事が一番大切だと話すが、現代人にそのような余裕はないだろう。そうした方々に向けて、健康食品や機能性食品は、健康づくりのサポートをしてくれる食品として、私どもも大きく期待しているし、非常に重要だと認識している」と語った。
改正食品衛生法に基づき導入される健康食品に対する新たな規制「指定成分等含有食品制度」についても言及。「引いては業界発展のためにつながると信じている」と述べ、前向きに受け止めるよう促した。
【写真左=新春賀詞交歓会で挨拶する山東昭子・日健栄協会長(右)と、下田智久理事長(左)(1月17日、東京・半蔵門)
【写真右=浅沼審議官】