不当定期購入契約 消費者庁、法執行を強化 (2020.1.23)
健康食品や化粧品の不当な定期購入契約に対する法執行を消費者庁が強めている。消費者トラブルの増加が止まらぬことを受けたものとみられる。昨年12月1日以降今月16日までに、通販会社など計4社に対し、勧誘や契約締結の業務停止命令を含む行政処分を行った。同庁では、「非常に詐欺的な、消費者を愚弄する手口で忌々しき問題。フェアな商取引をないがしろにもしている」と指摘する。
消費者庁は1月16日、定期購入契約を解除するための必要事項を故意に告げずに健康食品、化粧品の電話勧誘販売を行っていたなどとして、大阪府の電話勧誘販売・通信販売会社及び同社統括責任者に対し、特定商取引法に基づき、6カ月間の業務停止命令などの行政処分を行ったと発表した。処分は15日付け。
発表によると、処分したのは大阪府大阪市を営業拠点とするRarahira(ララヒラ)。同社が遅くとも昨年2月以降に行っていた健康食品『熟成自然派生酵素』、化粧品『BIHAKU』の電話勧誘販売について、4つの違反事実が認められたという。
違反事実のうち「売買契約の解除に関する事項につき故意に事実を告げない行為」では、同社は定期購入契約の勧誘に際し、「2度目いらなければ、お電話で必ずお止めできる」などと容易に解約できることを強調するのみで、解約申請期間の起算日となる具体的な日や、祝祭日や休日の休業日には電話受付けを行っていないことを、故意に告げていなかったなどとして違反を認定した。同庁ではこの違反が「最も重い」(取引対策課)としている。
また、電話がつながりにくい場合がある状況を放置し、契約の解除を困難にしていた悪質性も指摘。実際、解約の申し出を受け付けられなかったため、希望しないまま2回目以降も購入せざるを得なかった消費者もいるという。
こうした不当といえる定期購入契約を行う健康食品や化粧品の販売事業者に対し、消費者庁は昨年12月、通販事業者2社、電話勧誘販売事業者1社の計3社に対し、特商法違反を認定して行政処分を行っていた。通販2社に対しては、特商法が禁じる「顧客の意に反して通信販売に係る売買契約の申込みをさせようとする行為」を認定。うち1社に対しては、3カ月間の業務停止命令を行った。
国民生活センターの調べによると、健康食品や化粧品の通信販売について、「お試しだけのつもりで注文したが定期購入が条件だった」「(解約したいのに)事業者と連絡が取れない」などと訴える消費者相談が2015年度以降、増加の一途を辿っている。19年度の相談件数は約2万9000件(19年11月末時点)と前年同期比約230%に達しており、「激増」状態だとしている。
消費者庁によると、今回行政処分を受けたRarahiraの年商は約3.2億円(18年11月期)。通信販売も行っており、売上の大半を通販で上げていた。一方、同庁が特商法違反を認定したのは電話勧誘販売に関してのみで、業務停止命令の範囲も通販には及ばない。
消費者庁では、「取締りは今後更に強化していく。特商法の規定で足りない部分があれば、消費者利益の保護、取引の公正の観点から、今後積極的に見直していくことも検討していきたい」(取引対策課)とし、法改正も視野に取締りにあたる考えを示している。