18年度機能性表示食品市場 前年度比25%増 2千億円突破 (2020.2.6)
2018年度の機能性表示食品市場規模は2240億5000万円(メーカー出荷金額ベース)になったとする市場調査結果を矢野経済研究所がとりまとめ、1月30日に発表した。前年度比を見ると25.3%の増加と大幅な伸びを示したという。一方、健康食品全体の18年度市場規模は同じく出荷額ベースで8614億3000万円。前年度比は1.9%のプラスにとどまったとした。
サプリが拡大をけん引
機能性表示食品市場の今後の市場規模推移について同社は「緩やかな拡大基調が続く」と予測。19年度市場規模は見込みで前年度比6.3%増の2382億円と予測しており、伸び率は18年度に比べて大きく縮小すると見ている。
18年度の機能性表示食品市場の概況を見ると、同社の調査では特にサプリメントの伸びが大きかった。生活習慣病予防関連でのヒット商品の登場や、「睡眠」関連表示など特定保健用食品では現状許可されていないヘルスクレームを行う製品の積極的な市場投入が図られていることが、「市場規模の拡大につながっている」とする。
また、最終販売会社が主要製品を機能性表示食品としてリニューアル発売する動きも活発。もともと売上規模の大きい健康食品の機能性表示食品化も市場規模の底上げ要因になっていると分析している。
今後、緩やかな拡大基調
一方、健康食品全体の19年度市場規模については、前年度比0.7%増の8675億円が見込まれるという。機能性表示食品の伸び率鈍化とともに、健康食品市場全体の伸び率も鈍化すると予測した格好だ。
前年度比1.9%増と集計した18年度の健康食品市場について同社は、インバウンド需要が市場拡大に寄与した一方で、国内需要に目を向ければ、主力の通販チャネルについて、「中堅の通販専門企業に苦戦が見られる」と指摘。ただ、ネット通販のベンチャー企業に代表される「デジタルマーケティング戦略に奏功した企業」が売上げを伸ばした。これにより「全体としては引き続き成長」したとする。
また、機能性表示食品を通じて「機能表示を前面に押し出したコミュニケーション活動」で売上を伸ばす企業が見られ、通販の他に、機能性表示食品を軸にして「視認性の高い売場づくり」を展開したドラッグストアが好調に推移したと分析。これを受けて18年度は「薬系チャネルが拡大した」とする。
運動系の販売チャネル拡大
他にも、フィットネスジムなどの流通チャネルも拡大したとする。運動を日常生活に取り入れる動きが世代を問わずに活発化している中で、スポーツサプリメントの販売にも力を入れるジムなどが増加していることが影響しているようだ。
同社では、今後の健康食品市場について、「緩やかな成長基調が続く」と見る。健康食品の主力ユーザーである高齢者における健康長寿に対する関心の高まりが今後も継続していくとともに、中高年層の生活習慣病や加齢に伴う身体変化への対策、さらに、若年層でも健康・美容への配慮意識が今後高まることが予想されるためだという。