JACDS 変わるDgS 機能別陳列導入へ 自主基準案固まる(2020.2.27)
ドラッグストアのサプリメント・健康食品売り場が様変わりしそうだ。日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が取りまとめ作業を進めてきた「健康食品の販売方法、情報提供等に関する自主基準」(以下、自主基準)の案が2月7日までに固まった。自主基準では保健機能食品について機能別陳列を提案。また、信頼できる情報源も活用しながら、薬剤師や管理栄養士などを通じた店頭での積極的な情報提供も促すことにしている。
「食と健康」市場、健全な育成狙い
自主基準は、JACDSがドラッグストア(DgS)業界の更なる発展のために創出を目指す「食と健康」市場の健全な育成を図る狙い。DgS事業者に健康食品を適切に販売するためのマニュアルとして活用してもらい、「食と健康」を通じた国民の健康需要延伸の寄与にもつなげる。
自主基準の内容は消費者庁や厚生労働省の関係課も目を通しており、消費者庁表示対策課関係者は先月28日の業界5団体合同イベントに登壇した際、内容に特段の課題はないとの認識を示した。自主基準では情報提供について、医薬品との相互作用などサプリメントの安全な使用に関する情報も含めて提供するよう求めることにしている。
陳列については、機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)などヘルスクレームを行える保健機能食品を対象に機能別陳列を提案する。米国のダイエタリーサプリメント販売店舗における商品陳列にかなり近いイメージだ。
21機能カテゴリー提示へ
従来、ブランド別や成分別の陳列が一般的だったが、これに加えて機能別陳列を導入。これにより、薬剤師、登録販売者、さらに管理栄養士といった専門家が存在するDgSの優位性を十分に生かせるようにする。
機能別陳列では同一カテゴリー内にメーカーの異なる複数の商品が並ぶ。そのため商品選択に悩む来店者からの相談や質問が増加すると考えられる。こうした相談に応答していくことを通じて、生活者のヘルスリテラシー向上にも寄与する。
まずは21の機能カテゴリーを提示する予定だ。具体的には、目サポート▽鼻サポート▽骨・関節サポート▽筋肉サポート▽皮膚・粘膜サポート▽体の疲労サポート▽ストレスサポート▽メンタルサポート▽睡眠サポート▽認知サポート▽尿酸サポート──などの他、血圧、血糖、お腹、コレステロールといった生活習慣関連など計21機能カテゴリーを自主基準で示す。
特定商品に限定しない表示も
また、各保健機能食品の制度上の違いを来店者に理解してもらうための掲示を可能な範囲で求める他、機能性表示食品とトクホを混同する陳列や表示は行わないよう促す。これにより機能性表示食品がトクホと誤認されることを防ぐ。
店頭表示やPOPなども有効な情報提供ツールとして引き続き活用していきたい考えだ。そのため自主基準ではDgSでの新たな試みとして「特定商品に限定しない(紐づかない)合理的根拠に基づく表示」を提案する。具体的には、厚労省が「信頼できる健康食品情報源(公的機関等)」として指定している『健康食品の全て─ナチュラル・メディシンデータベース』を参考図書として推奨し、同データベースの掲載情報を店内表示やポップなどを通じて適切に伝えていくことを促す。
自主基準の全体像はJACDS主催で来月開催予定の「第20回JAPANドラッグストアショー」内のセミナー「変わるドラッグストアの店頭表示」で示される見通し。DgS事業者の他、消費者庁表示対策課・田中誠特命室長の講演及びパネルディスカッション登壇が予定されている。(DgSショーは25日に開催中止が決まった)
【写真=日本チャーンドラッグストア協会がDgS「10兆円産業化」を目指すにあたり、新たな需要を掘り起こすための施策として、機能性表示食品などを部位別で棚割り提案した「実証実験店舗」(写真はハックドラッグ)】