CBDオイル THC微量検出 厚労省分析(2020.2.27)
昨年10月の販売休止から膠着状態が続いていたエリクシノール(東京都渋谷区)のCBDオイル製品を巡る状況が一気に動き出した。厚生労働省は2月20日、同社の『ナチュラルドロップス3000』など3製品から微量のTHC(テトラヒドロカンナビノール)が検出されたと発表。これを受ける形でエリクシノールは同日、同3製品が手もとに残っていれば行政機関に「提出」するよう購入者に呼び掛けるとともに、THCが検出されなかった製品の販売再開を発表した。
昨年10月から販売自粛
エリクシノールはCBD製品の輸入販売で国内最大手とみられていた。しかし昨年10月25日、取扱い全製品の販売一時休止を突如発表。背景には、同社が取り扱うCBD製品が日本の法規制に抵触している可能性を当時の親会社エリクシノールグローバル(豪州)が指摘、発表したことがある。具体的には、日本の大麻取締法で禁じられる茎や種子以外の大麻草部位が使用されている可能性を示唆。この発表を受けて厚労省はエリクシノールにサンプル提供を要請し、分析調査を実施していた。
厚労省の発表によるとTHCが検出されたのは『ナチュラルドロップス3000』のほか、『シナミントドロップス3000』、『プロフェッショナル2000』の3製品(いずれも賞味期限が2021年月のもの)。同省監視指導・麻薬対策課によると、いずれも検出量は微量。定量限界値を下回っていたという。
国内流通されたCBD製品からTHCが検出されたのは初とみられる。厚労省では再発防止に向けて「関係機関と協力し、こうした製品が日本に入り込まないよう監視に務める」(監麻課)とする。
大取法違反「あくまで疑い」
THCが検出された3製品について厚労省は「大麻取締上の大麻に該当する疑いがある」と指摘している。ただ、現時点では「あくまでも疑い」(監麻課)にとどまり、同法に明確に違反しているわけではなく犯罪性もないとする。そのため同社に対する行政処分の予定もないという。
厚労省はエリクシノールが取り扱う18種類の製品を対象に分析調査実施。同3製品以外にTHCが検出された製品はなかった。
一方、厚労省の発表を受ける形でエリクシノールはTHCが検出された3製品以外の販売再開を発表。加えて、同3製品の購入者に対し、厚労省の指示に従い、手もとに製品が残っている場合は保健所などに「提出」するよう呼び掛けを始めた。「行政の提出受領証の返送」を条件に返金にも応じるとしている。
同社は3製品からTHCが微量検出されたことについて「このような事態が発生したことを弊社としても重く受け止めており、今後の再発防止に努めて参ります」と謝罪しつつ、「本商品の原料に関して、正式な通関手続きを行った上で輸入した」と釈明。また「今後は海外・国内のサプライヤーとも更に連携し、より一層の安全性確保と品質管理体制の強化に努めて参ります」としている。
再発防止、どう取り組む
ただ、「正式な通関手続きを行った」にもかかわらずTHCが微量検出される事態の再発防止に具体的にどう取り組むのか。現在までに削除されたが、同社は販売自粛中に米国の第三者機関による製品分析結果をホームページで開示し、THCは検出されていないと説明していた。
本紙は2月21日、エリクシノール代表に再発防止策などについてメールで尋ねたが、要望した期日までに回答は寄せられなかった。