東洋新薬 髙垣 欣也 副社長 原材料販売、事業化へ (2020.5.14)

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 健康食品ODM・OEMの東洋新薬(佐賀県鳥栖市)がオリジナル素材等の原材料販売を事業化させる。専門部署も新たに立ち上げた。「葛の花エキス」や「フラバンジェノール」をはじめとする同社の独自素材は、基幹事業のODM・OEMを拡大させる原動力の一つとなってきた。いわば「虎の子」を外部に広く販売していく狙いは何か。髙垣欣也副社長が5月1日、オンラインインタビューに応じた。

──独自素材の原材料販売はこれまでも限定的に行っていました。

 「当社で製造できない一般加工食品や飲料などに配合する場合に限り、特例的に行ってきた。その中で、機能性表示食品制度が始まってからは、市場の盛り上がりとともに問い合わせが増加していた。しかしそうはいっても当社はODEMがメイン。原材料に関する営業は片手間になりがちで、対応しきれていない部分もあった。また、原材料の販売はODMの武器の一つとして行っていたことで、差別化や独自性を高めるためということ。原材料を売ること自体が目的ではなかった」

──一方、今後は文字通り「原材料供給」を本格的に手掛けていくことになります。狙いは。

 「機能性素材のニーズが市場で高まっている中、当社で受託するサプリメントや健康食品以外にも配合商品が市場に大きく広がっていくことは、それ自体が素材のブランディングやマーケティングになる。それに、独自素材の開発には多くの時間と費用を要するのだから小さく萎ませては駄目だ。より長く、より太く育てていくことで、開発費の回収もそうだが、消費者のベネフィットの拡大につながる。その結果、当社の収益が高まることが狙いだ」

──今年、原材料供給に特化した新しい部署も立ち上げました。

 「お客様の要望に応えること、素材自体のブランディングを本格的に行うことが必要な時期が来たと判断した。そこで原材料に特化させた「原料営業部」を新たに立ち上げた。食品や飲料、菓子類といった、ODEMに関する営業とは毛色の異なる先を中心に提案を進めている」

──原材料供給を行うに当たり、何らか制限を設けているのでしょうか。

 「当社で製造可能な製品に関しては製造もぜひ当社にお任せいただきたいが、そこは状況によって変わる。機能性表示食品とするのか、あるいは一般健康食品として販売していくのかもお客様次第。『フラバンジェノール』など当社の登録商標もお使いいただける」

──原材料供給の対象は、東洋新薬の独自素材の大半を占めるということです。しかし、それをしてしまうとODEMにおける顧客の競合製品を増加させる結果になりませんか。

 「そうならない形にもっていきたい。むしろ、素材としての消費者認知度が高まることで、逆にプラスになる。商品の価値は独自素材だけでなく、処方や剤形などからも高められる。そこは当社としてもお客様に十分提案していける部分だ」

──とはいえ、たとえば葛の花エキスは機能性表示食品として数多くの商品が販売されています。すでに認知度も高いのでは。

 「まだまだです。ダイエット素材の消費者認知度としてベスト3に必ず入るようなポピュラーな素材に成長させたい。特にダイエットの分野は、一気に伸びて一気に落ちるということがある。そうではなく、息の長い素材にしたい。息の長いということは、幅広く使われているということでもある。原材料販売を通じて、葛の花に限らず他の素材もそのように息が長く、ポピュラーなものに成長させたい」

──先ごろ機能性表示食品の機能性関与成分となった大麦若葉由来食物繊維も原材料供給の対象です。

 「市場では難消化性デキストリンの存在感が大きいが、それとは異なる天然由来の食物繊維として、機能性表示食品以外にも幅広く使っていただきたい。最近では抹茶が様ざまな食品に利用されているが、そのような使い方も十分できると思う。その上で、もともと健康イメージが高く、食物繊維が非常に多く含まれているのが大麦若葉の強み。機能性表示食品としてのヘルスクレームである「便通」に関する体感も得られると思う」

──専門部署まで立ち上げた以上、原材料販売事業によって決して少なくない収益を計上しようと考えているはずです。売上目標について。

 「数年以内に数10億円と考えている。具体的ではなくて申し訳ないが、目指しているのは数億円ではなく数10億円。現在開発を進めている新しい素材も販売していくことで、それくらいの規模ならば十分到達可能だと考えている」

【写真=東洋新薬 髙垣欣也 副社長】



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