NMN、普及向け加速か NOMON、約6割値下げ(2020.5.28)
帝人グループのニュートラシューティカル製品販売会社「NOMON」(東京都千代田区)がNMN配合サプリメントの販売価格を大幅に引き下げた。新価格は従来価格の約6割引と、「価格破壊」とも言えそうな思い切った価格改定となっている。より購入しやすくすることでユーザー層を拡大する狙いだが、どうすればそこまで大幅に値下げできるのか。同社は「NMNの供給体制を強化し前年度の生産量の10倍以上の供給が可能」になったためだと説明している。
15万円から6万円台に
価格改定したのは、NOMONとしてサプリメント市場に参入した目的であり、主力製品の『NADaltus』(ナダルタス)。30粒入り(1日摂取目安量1~2粒)で1粒あたりにNMNを125㍉㌘配合したもの。同社は5月13日に価格改定を明らかにし、同日から新価格での販売を開始した。
新価格は「税込6万2640円」。サプリメントとしては超高価格帯商品だが、それでもおよそ6割も値引きされているというのだから、NMNに興味・関心のない人は驚くしかないだろう。従来価格は税込15万円と、昨今の健康食品市場では極めて異例の超高価格。昨年5月、NOMONの設立と同時に通信販売を通じて市場投入されていた。
NOMONによると、ナダルタスの主なユーザーには「経営者やその家族」も含まれる。また、同品に配合されているNMNは「純国産」。これまでにその製造元が明かされたことはないが、日本国内でNMNを製造している先はごくわずかに絞られる。
NMNは、今年3月末の食薬区分一部改正で、「β‐ニコチンアミドモノヌクレオチド」の名称で専ら非医薬品リストの化学物質の項目に追加されたばかりの新規成分。母乳や緑黄色野菜など天然物にも極微量含まれているとされる。業界では食薬区分を契機に注目を集め、今後の大型素材化を期待する声もある。
一方、食薬区分を巡る動き以前から、NOMONの他にも新興和製薬(東京都中央区)などがNMN配合サプリを販売。「希少」なNMNを配合していることを背景に、販売価格が10万円の大台を超える商品も珍しくない。2015年に放映されたNHK番組がきっかけと言われるが、業界では以前から一部で注目されていた経緯のある素材だ。期待されている機能性については、一言でいえば「アンチエイジング」。
NMN配合サプリ(あるいは食品)の販売を手掛ける会社は今後増えていく可能性が高い。その中でNOMONが今回踏み切った販売価格の大幅値下げは、他社の動きに先んじて市場シェアを一気に奪取する狙いがあるのかもしれない。
一方、価格改定は発売当初から予定されていたとの見方もある。
「一般的に言って、サプリで10万円以上というのは無理があると思う。販売していくのと同時進行でNMNの供給体制を強化してもらい、タイミングよく大幅値下げすることをもともと考えていたのではないか」。業界関係者からはこう推測する声も上がる。
競合他社どう動く
ところで、NOMONよりも先にNMN配合サプリを販売していたのが新興和製薬だ。昨年末に日本経済新聞に企業広告(全面)を掲載するなど、ここにきてNMNを通じてサプリメント市場の中心に躍り出ていこうとする動きを見せている。そのような中で同社はNOMONの価格改定の動きをどう見ているのだろうか。今後の動きが大いに注目される。