日健栄協 5期10年 長期体制終わる 下田氏退任 (2020.7.9)

日健栄恊合体②

 日本健康・栄養食品協会の理事長職を5期10年の異例の長期にわたり務めてきた下田智久氏が7月3日付けで退任した。新理事長には、下田氏と同じ流れを汲む元厚生労働省健康局長の矢島鉄也氏が同日就任。2代続けて元厚労官僚が協会トップに就いた。その他の理事の顔ぶれも一部変わり、新たな執行体制で事業者支援などの事業に当たる。

 下田氏の理事長就任は2010年7月。日健栄協の理事長職は学識経験者が歴任してきたなかで、行政との強いパイプが期待できる元厚労省健康局長の就任が大きく注目された。5期10年の長きにわたり理事長を務めた下田氏の後を継ぐ新理事長の矢島氏も元厚労健康局長。業界からは「元局長が(日健栄協)理事長に収まる流れが整えられた」との見方も上がる。

 新理事長に就任した矢島氏の経歴は、1982年3月千葉大学医学部卒業後、同年4月厚労省入省。その後、福井県厚生部保健予防課長、保健局医療課企画官、健康局総務課生活習慣病対策室長、大臣官房厚生科学課長、同技術総括審議官を務めた後、2012年9月に健康局長着任、翌13年7月に退官した。

 退官後は千葉県病院事業管理者(病院局長)を務めた他、今年4月に厚労省参与(非常勤)に着任。日健栄協によると、厚労省在職中に特定健診・保健指導の制度設計と健康日本21(第2次)を担当したという。一方、健康食品行政に携わった経験はないものとみられる。

 日健栄協によると、矢島氏は非常勤の理事長となる。前理事長も就任当初は非常勤だったが、就任から時間を置いて常勤に切り替わった。新理事長も前理事長と同じ流れが見込まれているのか日健栄協に問い合わせたが、現時点では明確な回答を得られていない。

 衆議院議員の山東昭子会長(非常勤)を筆頭に、新理事長はじめ24名の理事があたる日健栄協の新執行体制は、先月30日の定時評議員会、今月3日の臨時理事会を経て決まった。理事24名のうち常勤は、事務局長も兼務する青山充常務理事のみになるという。右腕として前理事長を強力に支えてきた青山氏の実権がより強まることになりそうだ。

 一方、前理事長の今後の動向も注目される。日健栄協が主導した特定保健用食品の公正競争規約について、協会内で最も熱を上げていたのは前理事長だったとみられる。近く、正式に立ち上がる見通しの、トクホ公正取引協議会の初代会長に就任する流れも予想できる。

【写真=2代続けて元厚労省健康局長が協会トップに就任することになった。写真上は下田智久前理事長、同下は新理事長の矢島鉄也氏。】


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