令和元年度食品表示消費者意向調査 機能性、認知まだまだ(2020.7.9)
機能性表示食品に対する消費者認知が1年間でさほど上昇していないことが、消費者庁が実施し先月24日に結果を公開した「令和元年度食品表示に関する消費者意向調査」で分かった。機能性表示食品を「どのようなものか知っている」と答えた人は18%にとどまり、前年度調査とほぼ同じ水準だった。ただ、「聞いたこともなく、どのようなものか知らない」は15.8%と前年度調査から2ポイント減少した。引き続き地道な普及啓発が求められそうだ。
食品表示に関する消費者意向調査は、消費者の食品表示に対するニーズを把握し食品表示制度の見直しに役立てる目的で消費者庁が2016年度から毎年実施しているもの。令和元年度調査も全国15歳以上男女を対象にインターネットで行い、約1万1000件の有効回答から1万サンプルを無作為に抽出、集計・分析した。
機能性表示食品の摂取率についても前年度調査から大きな変化はなかった。「現在摂取している」と答えた人は14.8%となり、前年度調査の14.2%からわずかな上昇にとどまった。
ただ、「摂取したことはないが、今後摂取してみたい」が34.0%と前年度調査から1.3ポイントとわずかだが上昇。逆に、「これまでに摂取したことはなく、今後摂取する予定はない」は前年度36.4%から35%に減少しており、摂取意向率は少しずつ高まっている様子がうかがわれる。「今後摂取してみたい」と回答した人は、男性(30.6%)よりも女性(37.2%)の方が多かった。
機能性表示食品に対する正しい理解もわずかだが上昇傾向を見せている。「効果や安全性について国が審査を行っている」の誤った回答を選択した人が19.7%とおよそ2割に上る一方で、正しい回答を選んだ人は17.4%にとどまる。ただ、前回調査の16.9%からやや上昇した。
一方、特定保健用食品(トクホ)の消費者認知率を見ると、「どのようなものか知っている」と答えた人は31.2%と3割を超えた。ただ、前年度調査の32.6%からわずかだが減少した。「聞いたこともなく、どのようなものか知らない」は8%だった。
また、トクホを「現在摂取している」と回答した人は17.6%となり、前年度の18.4%から減少。「今後摂取してみたい」は27.2%と前年度から1.6ポイント上昇したものの、30%台だった機能性表示食品の摂取意向率を下回った。
トクホの正しい理解については、33.6%が正しい回答を選択し、前年度とほぼ同水準だった。機能性表示食品と比較して正しい理解が消費者に広がっている様子がうかがわれるものの、それでも3割台にとどまる。「分からない」と回答した人も31.3%存在した。
安全性・品質 関心高く
機能性表示食品の届出情報が消費者庁のウェブサイトで確認できることを知っている消費者はどの程度存在するのか。「令和元年度食品表示に関する消費者意向調査結果」によれば、知っていると答えた人は15.3%となり、前年度調査時とほとんど変わらなかった。
届出情報を消費者庁ウェブサイトで確認できることを知った経緯を尋ねる設問では、最多は「新聞、ニュース、雑誌等の記事・広告」の61.6%。次いで「商品の表示を見て」が29.6%、「消費者庁ウェブサイト」が29.5%と続いた。
また、届出情報の確認が同庁ウェブサイトで出来ることを知っていた1526名に対し、実際に確認したことがあるか尋ねる設問では、「はい」が45.5%と半数に満たなかった。
さらに、「はい」と答えた694名にどのような情報を確認したかを複数回答で尋ねたところ、最多は「安全性評価」で51.7%と過半数に達した。次いで「基本情報」が44.1%、「生産・製造及び品質の管理」は37.9%、「健康被害の情報収集体制」が29.8%と続いた。一方、「機能性の科学的根拠」「表示の内容/表示見本」はそれぞれ28.1%、20.7%と2割にとどまった。消費者は、機能性よりも、安全性や製品品質に対する関心の高い様子がうかがわれる。