ネット通販 不正注文、健康食品が最多 (2020.7.9)

ネット通販_不正注文の実態_図表参考 天地2段で

 インターネット通販で健康食品を巡る不正注文が増えている。EC事業者に不正対策サービスを提供するかっこ(東京都港区)の調べによると、今年2~5月に不正注文被害が最も多かったEC商材は健康食品で、全体の26.6%を占めた。初回限定で価格が下げられた商品を、初回を装い何度も注文し転売することで利益を得る、といった悪質な転売不正が特に目立つとしている。

 調査結果は同社が先月24日公表。健康食品の通販では初回限定のトライアル価格などのキャンペーンを通じて新規顧客を増やしていく取り組みが一般的に行われているが、同社は、「特に、人気のある商品だと悪質転売のリスクが高まり、不正被害のターゲットになってしまう」と警鐘を鳴らす。

 転売先は、BtoC(企業対消費者)やCtoC(消費者間)の売り手と買い手がインターネット上で自由に参加できる、いわゆるマーケットプレイス。健康食品の不正注文者は、初回限定価格で何度も安く仕入れてマーケットプレイスで転売し、初回限定価格との差額益を得ようとする。同社の調べでは、前年同時期においても健康食品の不正被害が商材別で最も多く(24.5%)、同社は「狙われやすい商材の一つといえる」と指摘する。

 今年2~5月の不正被害件数でトップの健康食品に次ぐのはホビー、アパレル。全体に占める割合はそれぞれ13.4%、11.5%と1割強程度にとどまり、健康食品に関する不正被害件数の多さが際立つ。一方、健康食品と同様にトライアル価格などを通じた新規顧客の誘引を行う場合が目立つコスメ(化粧品)は7位(構成比率5.8%)。前年同時期も同じ順位だった。

 同社の調べによれば、新型コロナ禍でECの不正被害件数は増加傾向を示している。今年2~5月と前年同時期を比較すると、被害件数の伸び率は3%にとどまるものの、金額ベースでは21%も増加した。背景には、そもそもEC市場が伸びているなかで、新型コロナウイルス感染防止のための外出自粛によってネット通販の需要が高まったことがあると考えられるという。

 こうしたECにおける不正被害の状況を同社が公表するのは今回が初。悪質転売などの不正被害を防止する施策について、同社は、「(不正注文者の)情報を業界全体で共有するなどの取り組みが求められる」と話している。

 同社は2011年設立。EC業界に特化する形で、不正注文、不正ログインなどの不正検知事業を手掛けている。ビックデータを活用した独自の不正注文検知サービスも開発。同サービスのECサイトへの提供実績はこれまでに2万超に上るという。

【表=不正被害の商材別ランキング(2020年2~5月)】


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