「定期」規制 高まる機運 ネット通販 減らぬトラブル(2020.7.9)
健康食品、化粧品を巡る定期購入トラブルの増加に歯止めをかけるため、ネット通販の定期購入に対する規制が強化されそうだ。消費者委員会は、定期購入などが条件にされる「悪質なお試し商法」に関する意見を先月26日までにまとめ、消費者庁に対応を求めた。消費者庁の「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」も、同29日に開いた第4回会合で規制に向けた議論を開始。委員からは迅速な対応を求める意見が上げられた。
健康食品、化粧品の定期購入をめぐっては、特にインターネット通販で、「お試し無料」「お試し価格〇円」などとアピールしながら実際は複数回の定期購入を条件とする回数(定期)縛り、回数縛りの条件はなく「解約自由」をうたっていても、実際は違約金を求められたり、解約のための電話がつながらなかったりといったトラブルを巡る消費者相談がここ4年で急増している。
状況を重く見た国民生活センターは、2016年6月以来、消費者に対する注意喚起を繰り返し実施。消費者庁も、悪質な定期購入契約を行っていた事業者に行政処分を行った。しかし、相談件数は増加の一途。同庁によれば、健康食品や化粧品の定期購入に関する19年度の相談件数は、前年度から1万200件以上増え、約2万6700件に達している。
消費者委員会は、先月26日までにまとめた「悪質なお試し商法」に関する意見で、消費者庁に対し、インターネット通販の申し込み最終確認画面などの規律を定めたガイドラインの見直し、特定商取引法の執行強化・高度化、消費者に対する情報提供・注意喚起──などの対応を進めるよう要求。アフィリエイト広告の責任主体などを検討する必要があるとも指摘している。
ただ、健康食品、化粧品の定期購入を巡る消費者からの相談の矛先は、一部の悪質な特定事業者に集中しているといわれる。そのため、拙速な規制強化は、健全な事業者にまで影響を及ぼす懸念があり、慎重な議論を求める声が上がっている。
【写真=消費者委員会は「悪質なお試し商法」に関する意見をまとめ、消費者庁に対応を要求した】