CBDオイル THCまた微量検出 (2020.8.6)
【写真=THCが微量検出された埼玉県の専門商社が輸入した製品。厚労省によると、同一種類の製品である一方で賞味期限が異なる製品では検出されなかった(写真は厚労省発表資料より)】
輸入されたCBD(カンナビジオール)オイルから、大麻成分のTHC(テトラヒドロカンナビノール)がまた検出された。厚生労働省が行った製品分析で判明したもので、同省が7月28日に発表、販売者名、製品名などを明らかにした。同省は今年2月にも同様の発表をしていた。
リスク完全排除は困難
厚労省発表によると、THCを新たに検出したCBDオイルを輸入販売していたのは、CBDオイルの原材料・最終製品販売のほかOEMも手掛けるCBD製品専門会社の「こころ」(埼玉県蕨市)。同社からの連絡を受け、同省で製品分析を行った結果、同社が販売したCBDオイル2種類5製品からTHCが検出。検出量は「微量」としている。
同社は取材に、5製品は北欧から輸入したもので、いずれも医療機関専売商品だと話した。昨夏、THCが含まれる可能性を第三者から指摘されたのを受け、当該製品の全てを昨年10月までに回収したという。その後、厚労省が行った分析の結果、実際にTHCが微量だが検出された。
厚労省が輸入CBDオイルからのTHC検出を明らかにするのは今年2月に続き2度目。2月は、CBD製品輸入販売大手のエリクシノール(東京都渋谷区)が米国から輸入した3種類の製品からTHCが微量だが検出されていた。
大麻草由来CBD製品から微量にせよTHCが検出されると、大麻取締法上の「大麻」に該当する疑いをもたれることになる。その上、大麻に該当するCBD製品を輸出入、所持、譲渡、譲受した場合は罰せられる可能性がある。
大麻草由来CBD製品は通常、大麻取締法の規制対象から外れる大麻草の成熟した茎、種子を原料とする。ただ、規制対象となる葉、花穂、枝などが原料に多少混ざるリスクを完全に排除することは難しく、今後もTHCの微量検出事例が発生する可能性は高い。そのため、受託製造事業者の中には、CBD製品に関する案件を忌避する先も少なくない。
「国で基準を設けて」
厚労省は現在、ホームページ上に、CBDオイルなどCBD製品の輸入を検討している事業者に向けた「案内」を掲載している。CBD製品の輸入にあたっては、輸入の都度、必要書類を関東信越厚生局麻薬取締部に提出し、厚労省に大麻該当性の判断を受ける必要があるとしている。
CBD製品の輸入に必要な書類は、まず、大麻取締法の規制対象外である大麻草部位などから抽出・製造されたCBD製品であることを示す証明書。また、THC、CBDに関する分析方法、検出限界値、分析結果などを示す、分析実施機関・者の署名も付けた成分分析書。さらに、原料となる大麻草の茎などの全体像、製造工程を示す写真――。これらの書類は製造元から入手する必要があるとの念押しもしている。
必要書類をしっかり用意し、厚労省の判断が「大麻に該当しない」だったとしても、その後の検査、分析でTHCが検出されることもある。その場合について、厚労省の「案内」では、大麻に該当するものを輸入したとして「大麻取締法に基づき処罰を受ける可能性がある」としている。その上、相手国に送り返すこともできない。大麻は「輸出についても禁止されている」(同)ためだ。
エリクシノール、こころともに、正式な手続きを経て輸入、販売したとする。それでも、微量とはいえ検出されたTHC。CBD製品の輸入販売を行う関係者は「THC含量を〝ゼロ〟にすることは難しい。上限量などの規格基準やルールを国で定めてほしい」と話す。