コロナ禍以降 相次ぐ薬機法違反の摘発 (2020.9.10)
未承認の医薬品を効能効果をうたって販売するなどの、医薬品医療機器等法(薬機法)違反の摘発が相次いでいる。ここ半年で6件の摘発事例が上がっており、例年と比べ数が多い。新型コロナウイルス感染に効果があるかのような広告表示の違反が多く見られる一方で、フリマサイトにおける広告表示で書類送検されるなど、監視対象の幅が広げている可能性もありそうだ。
新型コロナウイルスの感染が広がり始めた2月、3月以降、新型コロナに有効な手立てがないなかで効果があるかのような商品を宣伝するなどのケースが後を絶たない。消費者庁は2月、新型コロナ予防効果の標ぼうは、景品表示法や健康増進法の観点から不当表示の「おそれが高い」として、ネット上の広告監視を強化。これまで3度の調査結果を発表するなどして、消費者へ注意喚起している。
警察の捜査も進んでいる。今年3月末にオリーブ葉エキスを用いたサプリメントを販売していた健康食品販売事業者の警視庁の摘発をはじめ、6月には3件の摘発が発生。次いで7月に1件、9月に1件の事例が上がっている。6件中5件が新型コロナへの効果を標ぼうした事例で、うち1件が肝臓疾患の予防効果をうたったもの。また、9月にされた事例では、フリマサイトにサプリメントを出品した看護師が神奈川県警に書類送検された。薬機法違反に関する捜査関係者の目は、新型コロナの感染拡大に乗じて、商品販売サイトや企業サイトなど従来のウエブ監視の対象から、フリマサイトなどの新たな媒体をも監視対象に広げているようだ。
ここ数カ月の薬機法違反の摘発事例を上げてみる。3月31日付朝日新聞デジタルによると、警視庁は、健康食品販売会社「日本ホールフーズ」社長と社員の男2名と、法人としての同社を医薬品医療機器法違反(未承認医薬品の広告、販売目的貯蔵)の疑いで書類送検したと発表した。「新型コロナウイルスの増殖を抑える」と医薬品としての効能があるように装ってサプリメントを宣伝した疑いと報じている。
6月5日付朝日新聞デジタルによると、千葉県警は、「新型コロナウイルスに効く」とうたい、未承認の漢方薬を広告した容疑で、同県我孫子市の整体師を名乗る中国籍の男を5日にも書類送検する方針を固めたと報じた。
また、同月9日付で朝日デジタルが報じたものでは、大阪府警が大阪市東成区の薬局運営会社長の男と法人としての同社を医薬品医療機器法違反(未承認医薬品の広告、販売目的陳列)の疑いで書類送検。東成署によると、男は植物の根から精製した漢方薬を含むとうたう健康食品を「コロナウイルスの感染予防に」と書かれた説明文を掲示するなどして宣伝していた。
さらに大阪府警は同月17日、神戸市中央区の健康食品輸出入会社の代表ら2人を医薬品医療機器法違反(未承認医薬品の広告)の疑いで逮捕した。医薬品として承認されていないタンポポ茶を、抗ウイルス効果があると同社が運営するサイト上で宣伝した疑い。
7月20日には大阪府警が、福岡県博多市の健康食品通信販売会社の従業員と、東京都新宿区のウェブ広告代理店社長ら合わせて6名を、医薬品医療機器等法違反容疑で逮捕した。健康食品を巡る体験談を捏造とみなした上で、商品販売者から広告作成者まで、芋づる式に薬機法違反容疑で逮捕するのは極めて異例。
9月3日付の朝日新聞デジタルが報じたところによると、神奈川県警は2日、女2人を医薬品医療機器法(承認前の医薬品等の広告など)に違反した疑いで書類送検した。それぞれ、看護師の女はフリーマーケットサイトで「コロナウイルスにも免疫をあげることでかかりにくく!」とうたいビタミン剤を販売。無職の女はハーブドロップを、フリマサイト上で「コロナウイルス対策」などと宣伝して販売した疑いがもたれている。