ウイルス予防 監視緩まず 表示改善指導ばかりでなく(2020.9.10)

ウイルス予防効果表示①①

 新型コロナウイルスなどウイルス感染予防効果を根拠なく不当に表示する製品に対し、消費者庁表示対策課が厳しい監視の目を注ぎ続けている。一般消費者が「感染予防について誤った対応をしてしまうことを防止する」狙いがある。新型コロナ禍が終息するまで監視の目が緩むことはなさそうだ。

携帯型の空間除菌用品 不当表示で措置命令
 消費者庁表示対策課は8月28日、ウイルスや菌を除去する効果を不当に表示しながら携帯型空間除菌用品をインターネットで販売していたのは景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして、日用品製造販売の東亜産業(東京都千代田区)に措置命令を行い、発表した。根拠なく「首にかけるだけで空間のウイルス除去・除菌」などと表示していたという。

 「身につけるだけで空間のウイルスを除去」などといった効果をインターネット上で表示していた携帯型空間除菌用品を巡り同課は今年5月、景表法違反(優良誤認)のおそれがあるなどとして販売5社に表示改善を求める行政指導を行っていた。

 東亜産業が同5社に含まれていたかは不明だが、指導が措置命令に発展した形だ。条件が揃えば今後、課徴金納付命令も受けることになる。

 しかし、同社は措置命令に反発している。
 景表法の不実証広告規制に基づき、同社は表示の合理的根拠を示す資料を提出。しかし同庁は根拠と認めなかった。それに同社は強い不満を示しており、「今後、正式な手続きを踏むことによって、弊社の正当性を明らかにして参りたい」(同社ホームページ)として、措置命令の取り消しを求める方針を示唆している。

 同社はホームページで根拠資料の概要を明かしている。広告表示が問題視された同社の「ウイルスシャットアウト」について、「本件製品が二酸化塩素を実際に発生させる実験のほか、本件製品の原材料として使用している二酸化塩素発生剤を使用した除菌・ウイルス除去試験」の結果データを同庁に提出していた。

 一方で同庁は、同製品について同社が行ったと判断した「あたかも、本件商品を身につければ、身の回りの空間におけるウイルスや菌を除去又は除菌する効果が得られるかのような表示」の合理的な根拠にならないと退け、優良誤認表示を認定。同社が提出した資料は狭い空間における効果を示したもので、風通しのある屋外など、日常の生活空間における効果を示す根拠にはならないと判断したとみられる。

【写真=景表法違反(優良誤認)されたインターネット上広告の一部。違反対象表示媒体としては、自社ウェブサイトと「楽天市場」が認定された】


Clip to Evernote

ページトップ