「機能性」届出検討か 神明グループ、「飲める米糠」で(2020.9.24)
「米糠を科学する」、「米糠に含まれるγ‐オリザノールに『肌の保湿効果』があることが実証されました」──。
このようにアピールする全面広告が、9月10日付朝日新聞朝刊に掲載された。広告を出稿したのは、国内最大の精米卸会社神明のグループ会社、神明きっちん(兵庫県神戸市)。同社は「飲める米糠」など米加工食品を通信販売などで販売している。
この全面広告は、γ‐オリザノールを含む食品の摂取による肌への効果を検証したヒト試験結果の概要を伝えるもの。神明きっちんは同日、試験結果に関するニュースリリースも出し、無作為二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験の結果、同社で販売する「飲める米糠」に肌の保湿効果が確認されたと発表した。同品にはγ‐オリザノールが一定量含まれるという。
γ‐オリザノールは、米に特徴的に含まれている機能性成分。一方で、厚生労働省が所管する食薬区分の「専ら医薬品」リストに収載されている成分でもあり、一般的に食品で同成分の含有を訴求することは困難。しかし、機能性表示食品については事情が異なり、同リストに収載されている成分でも、機能性表示食品の機能性関与成分として条件付きで届出可能であることが昨年、通知されている。
今回、神明きっちんが臨床試験を実施した目的は、γ‐オリザノールを機能性関与成分にした米糠食品を、機能性表示食品として届け出ることだと考えて間違いなさそうだ。ただ、同社によると、臨床試験結果を論文にまとめるのはこれからだと言い、実際に届け出るのだとしても、もう少し先になるとみられる。
専ら医薬品リスト収載成分を機能性関与成分にした届出第1号は神明きっちんの米糠となるのか、それとも、届出手続きが現在進んでいる成分が他にあるのか。今後の動きが注目だ。
神明きっちんの発表によると、今回の臨床試験は、2020年2月から4月にかけて30~40代女性50名を対象に実施。γ‐オリザノール含有米糠を1日5㌘、8週間摂取した際の肌の保湿機能改善効果を、角層水分量と経表皮水分蒸散量を指標に検証した。