アピ 付加価値提供へ全社体制(2020.10.8)
サプリメント・健康食品受託製造国内最大手のアピ(岐阜県岐阜市)は、今期(2021年8月期)スタートと同時に社内組織機構の大型改革を実行した。営業と研究開発の各本部を一体化。これにより、顧客ニーズの正確かつ迅速な把握、ニーズに合わせた付加価値の伴う最終製品の提供に向けた機動力を全社的に高める。それに合わせ、社内外への情報発信などでデジタル施策も強化。これら全てを通じて、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた社会や市場の変化の大波を乗り切り、一層の業績拡大を図る。
組織改革を実施 部門連携を強化
アピは、組織機構の大型改革を前期に引き続き実施。今期は「営業開発統括本部」を新設した上で、「営業本部」と「研究開発本部」を大胆に融合させた。
また、事業戦略の立案・推進とともに、営業、研究開発の両本部の〝橋渡し役〟を担う「営業開発企画・管理本部」を統括本部内に新設。これにより、前期の組織改革から戦略的に進めてきた営業部門と研究開発部門の、事業戦略に根差した有機的な連携をさらに推し進める。
同社は、営業、研究開発ともに大所帯。ただ、これまでは個々の能力に任せた活動が目立ち、営業部門、研究開発部門の連携も乏しかった。一連の組織改革は、それを解消し、マンパワーも生かしながら、〝個〟ではなく〝組織〟として顧客をサポートしていく狙い。また、営業と研究開発が融合することで、目まぐるしく変わる消費者ニーズに則したサプリメント・健康食品を素早く形にできるようにする。
今期の投資計画 デジタルを重視
こうした社内の動きをサポートするため、今期はソフト面の充実化も推進。前期はハード面の強化のために約50億円を投資し、リトルPETボトルの生産ライン増設などを行った。一方、今期はデジタル施策の強化に投資。インターネットを活用した営業展開や情報発信などマーケティング活動の強化、社内情報管理システムのインフラ強化などを進める。
ソフト面の充実は前期から進めていた部分もある。今期から営業開発統括本部の直下に置かれる「新規事業開発部」が計画した、機能性表示食品の開発や届出サポートに対応する「API's SR」、顧客が想定する商品コンセプトに最適化したエビデンスベースの処方提案を行う新サービス「API's CF」(コンセプトフォーミュレーション)がそれに当たる。
特に、今年6月に立ち上げた「~CF」は、研究開発と営業が一体となって、顧客の要望に応じた最終製品を短時間で開発、提供する仕組み。こうしたサービスの推進とともに、今期最大の施策となる営業部門および研究開発部門の融合やデジタル施策の強化を背景に、全社を挙げて顧客満足度を高める。