キリン プラズマ乳酸菌 売上高10倍超へ(2020.10.22)

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 キリンホールディングスは、独自の機能性食品素材「プラズマ乳酸菌」に関連する売上高を、2027年までに少なくとも500億円に拡大させる。投資家向けに10月6日開いたR&D関係の説明会の中で磯崎功典社長が方針を明らかにした。磯崎社長は「少なくとも」と強調。売上高500億円は最低ラインとしたい考えを示した。

免疫表示を追い風に
 19年の関連売上高は約40億円とされており、短期間のうちに10倍超の売上拡大をめざすことになる。機能性表示食品として、免疫に対する機能性を消費者に直接訴求できるようになることを強力な追い風に、プラズマ乳酸菌の関連売上高を大きく拡大させる構えだ。米国など海外でも、BtoB(事業者対事業者)の原材料販売などを通じてプラズマ乳酸菌の市場をグローバルに広げる。

 キリンHDやキリンビバレッジのほかグループの小岩井乳業は、機能性表示食品として、プラズマ乳酸菌を機能性関与成分にしたサプリメント、飲料、ヨーグルトの届出を行っている。「PDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つ」旨を表示するもの。サプリメントと飲料は来月に発売する。

 磯崎社長はこの日、プラズマ乳酸菌の免疫訴求機能性表示食品の届出は、「ヘルスサイエンス事業の拡大に向けて非常に重要な一歩」になると述べた。同社はヘルスサイエンス事業を、「医」と「食」をつなぐ新たな領域として、事業の新たな柱に成長させようとしている。

 機能性食品素材市場において、最終製品も含めた市場規模が500億円に達する素材はそう多くない。キリンHDはその規模の創出を固有の素材製品(プラズマ乳酸菌)のみでめざすことになる。実現に向けては、来月から順次市場投入される機能性表示食品に対する一般消費者の反応が試金石になりそうだ。

 キリンHDはプラズマ乳酸菌を、資本業務提携関係にあるファンケルに対して素材供給し、同社からも同様の機能性を訴求する機能性表示食品のサプリメントが今年12月に新発売される予定。キリン、ファンケルともに大規模な販売プロモーション活動を展開することが予想される。

 素材販売は海外市場でもすでに展開が始まっている。米国では今年、複数のサプリメント企業から配合製品が発売された。海外にはグループの協和発酵バイオの拠点が各地にある。今後、国内でもサプリメント用途での供給先を広げるのかどうか注目だ。

【写真=10月6日開催「R&D Day 2020」で講演するキリンHDの磯崎社長(写真は配信動画を撮影)】

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