都市型DgS、業績厳しく (2020.11.26)
インバウンド需要を見込んだ都市型店舗のドラッグストアを中心に展開するマツモトキヨシホールディングスとココカラファインの業績が振るわない。このほど発表された両社の業績はともに減収減益に落ち込んだ。新型コロナの感染拡大に伴う訪日客の蒸発に見舞われた今年上半期の消費動向を色濃く映し出したようだ。
マツキヨが11月13日に発表した21年3月期第2四半期(4月~9月)の売上高は、対前年比8.8%減の2738億4600万円、経常利益は同20.9%減の155億4100万円だった。
新型コロナの感染が広がった第1四半期同様にマスクや除菌関連、日用品、食品などの特需が郊外型店舗を中心に発生したが、繁華街や都心の店舗などで医薬品、化粧品が苦戦。また、前年9月の消費増税前の特需の反動もあり、減収となった。インバウンド売上は、第1四半期に引き続き「僅かなもの」だったとしている。
訪日客の蒸発 化粧品売上減
商品別売上をみると、雑貨と食品が前年を上回った。一方、化粧品は前年同期比78%に落ち込むなど、訪日客蒸発とともに外出自粛の影響を受けている。
同社では、政府による渡航中止勧告が段階的に解除されるなどインバウンド需要に対する回復期待は持てるものの、「インバウンド需要低迷の現況は、当期末(来年3月)まで継続する」と見ている。
一方のココカラファインは同月12日に発表。第2四半期の売上高は同7.8%減の1918億8900万円、経常利益は同18.2%減の65億8300万円だった。マツキヨ同様に、都市型店舗でのインバウンド需要の減少や、化粧品など高付加価値商品が落ち込んだ。
インバウンド店の撤退進む
DgS市場全体を見渡すと、インバウンド需要を成長要因のひとつに業績を向上させてきた企業の低迷が目立つ。マツキヨ同様に都市型店舗を展開するサンドラッグが先日発表した第2四半期の売上高は前年を上回る数字だが、ディスカウントストア事業の増収がDgS事業の減収分を補ったかたちだ。
訪日客の蒸発で、インバウンド需要を見込んだ店舗の撤退も進んでいる。東京・浅草、ロック座近くの商業施設に18年に開店したウエルシアホールディングスの店舗は今年10月閉店。コスモス薬品がインバウンド店として昨年5月に開店した東京・中野店も今年4月に撤退した。
好調な郊外型 業績にも反映
都市型店舗が振るわない一方で、郊外型店舗を主力とする企業は業績を押し上げている。
北関東を主要エリアに郊外型店舗を展開するカワチ薬品は、今年2月以降、既存店売上が前年実績を上回るなどしたことで通期業績を上方修正。感染予防関連商材に加え、生活必需品と内食需要の好調を要因という。北陸を地盤とするクスリのアオキホールディングスも好調。9月に発表した第1四半期(6月~8月)は売上、利益ともに前年を上回るなど、ここ数年進めている食品事業拡充が業績を押し上げているようだ。
新型コロナは長期化の様相を呈している。訪日客を見込んだ店舗展開を進めてきたDgSは、ウイズコロナを見据えた店づくりが求められている。
【写真=訪日客は蒸発。インバウンドの回復見込みは立っていない(写真はマツキヨがインバウンド対応の店舗として2018年に開店した東京・銀座のDgS店)】