備前化成が新たな製剤を開発(2020.11.26)
口腔内に滞留させる必要のある機能性成分・素材を、従来よりも長く口腔内にとどめることのできる新たな製剤技術を、健康食品受託製造の備前化成(岡山県赤磐市)が開発した。通常だと5分程度しか口腔内滞留性がない成分でも、30~40分にわたりとどめることができるという。口臭対策や歯周ケアなどを目的とするオーラルケア素材に適した製剤としてOEM提案を進める。
滞留性高める顆粒技術
備前化成が新たに開発した製剤技術は、特定のコーティング剤と粘膜親和性を持つ高分子基材を組み合わせ、唾液によって内容物が徐々に放出されるように調整した、コンポジット顆粒製剤技術の「B‐MoG(ビーモグ)」
臨床試験で口臭抑制機能や歯周病抑制機能などの科学的根拠を得られているオーラルケア食品素材などの機能性が、生体内で適正、かつ、最大限発現させる目的で技術開発した。口腔内にとどまる必要のある有効成分が、唾液に押し流されるのを一定時間防ぐ特長を備える。一般的な製剤機器と食品基材を利用するため、販売価格は一般的な顆粒製剤と比較して大幅に上がることはないという。
また、顆粒剤をベースにした口腔内での高滞留性製剤はこれまで食品分野では見いだされていなかったといい、B‐MoGは「口腔ケア素材を進化させることのできる新たな製剤技術だ」(研究開発本部・丸勇史本部長)と話す。
B‐MoGに内包された機能性成分等が口腔内に長くとどまることのできる仕組みは、機能性成分等の外層に徐放性基材を重ねることで、唾液によって機能性成分等が少しずつ放出される。また、同基材の外部に口腔内粘膜と親和性の高い高分子基材を重ねることで、機能性成分が放出される前に高分子基材が口腔内粘膜を覆う。この2つの時間差メカニズムによって、機能性成分が唾液に押し流されることを防ぎ、口腔内に長くとどめる──というもの。
口腔内での滞留性能を調べるために同社で実施した実験では、あるオーラルケア成分を単独で口腔投与した場合と、同成分をB‐MoG製剤化した場合の唾液中の成分残存量および時間を比較したところ、B‐MoGは5倍以上の滞留持続性を示したという。
B‐MoGは、化合物や抽出物に応用することができるため、「幅広い食品素材を組み込むことができる」(同)。また顆粒の粒子径を調整できることから、サプリメントからガムなどの一般加工食品まで展開できる。さらに、不快な呈味を改善する機能も確認できているため、風味に課題のある成分・素材の製剤化にも有効だという。
同社は近年、独自製剤技術の開発に注力。昨年には、機能性成分を「届けたい場所に届ける」ことをコンセプトにした、機能性成分の溶出スピード(タイミング)を消化管内でコントロールできる錠剤技術「B‐ReC(ビーレック)」を発表していた。