ニッスイ SR表示、前例踏襲が安心 (2020.12.24)
機能性表示食品について研究レビュー(SR)による届出を行う場合、届出表示は「報告されています」としておくのが現状では適切と言えそうだ。機能性関与成分のSRに基づく届出表示の一方で、「機能があります」と表現する届出を行っていた日本水産(ニッスイ)が、自主的に表示内容を「報告されています」に修正する方向で検討していることがわかった。近く、変更届を行うとみられる。
自主判断、「過去の届出鑑み」
ニッスイは、N‐アセチルグルコサミンに関するSRを行い、次の機能性表示を届け出ていた。
「本品にはN‐アセチルグルコサミンが含まれます。N‐アセチルグルコサミンは、歩行や階段の上り下りにおけるひざ関節の悩みを改善し、関節軟骨成分の分解を抑えることで関節軟骨の維持に役立つ機能があります」
この届出(2商品)は、今月1日に消費者庁が公開したばかり。SRに基づく届出表示で業界が常識的に用いてきた「報告されています」ではなく、最終製品の臨床試験に基づく届出表示で一般的に使用する「機能があります」と表現した上で、消費者庁がそのまま公開したことに、業界の一部が大きく注目。消費者の商品選択に影響を与える可能性はほとんどないと考えられるものの、今後のSRに基づく届出表示の書きぶりに影響を与える可能性があると捉えられた。
一方、ニッスイは、届出公開後、表示内容を再調整する検討に入った。同社は今月18日、健康産業流通新聞の取材に、「今回の表記に関して、混乱を招くことを避けるために、弊社の判断で、過去届出されている事例も鑑み、『報告されています』で修正手続きを進めるよう調整中です」と回答した。近く、当該届出表示のうち、「機能があります」の部分を「報告されています」に修正した変更届を行うとみられる。
「報告されて~」が望ましい
機能性表示食品の届出ガイドラインでは、届出表示について、機能性関与成分のSRで科学的根拠を説明した場合の表現例として、「本品にはA(機能性関与成分)が含まれます。AにはBの機能があることが報告されています」を例示。一方、最終製品の臨床試験の場合については、「本品にはA(機能性関与成分)が含まれるので、Bの機能があります」を例示している。
こうしたガイドラインの例示と照らし、SRにもかかわらず「機能があります」と表現した今回の届出表示の適切性を疑問視する声も、業界の一部から上がっていた。最終製品として科学的根拠があると誤認される可能性もあることが理由だ。
ただ、この点について消費者庁食品表示企画課の担当官は本紙の取材に、今回の届出表示の場合、「機能があります」の主体はあくまでも機能性関与成分であることが明確に分かる内容になっているなどとして、問題はないとする見解を示していた(本紙第1030号既報)。
一方、その後の取材で、食品表示企画課幹部は、「我われとしては、制度運用上、SRによる届出の場合は、ガイドラインに基づき、『報告されています』とするのが望ましいと考えている」とコメント。届出ガイドラインに記載の通り、SRによる届出の場合は「報告されている」ということが明確になる表現を行うよう求めた。