台湾市場も拡大基調続く 関節、アイケア、美容が人気(2021.1.28)

07市場売場⑤

 アジアでは今、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、人々の自己防衛意識が高まり、健康食品の需要が伸びている。その現況を伝える目的で、中国市場にスポットを当てた記事を前号(第1032号)で掲載した。今回は、視点を台湾市場に移し、「食品工業発展研究所」(ITIS)等のデータを活用しながら同国の市場概況を報告する。なお、台湾の健康食品のカテゴリーは、①国に認可された「健康食品」(現在約350商品ほど存在)、②認可はされていないが健康機能を訴求する一般食品(錠剤・カプセル状食品を含む栄養補助食品)、③特殊栄養食品──の3分野が存在する。台湾ではこれら3つを総称して「保健食品」と呼んでいるため、この記事もそれにならうことにする。(アジア支局長・楊恵芳)

 ITISの最新の調査で2020年の台湾保健食品市場規模は1500億元を突破すると推定されている。14年に1149億元に達して以降、17年1292億元、18年1368億元を経て、一気に1500億元を超えることになる。

 台湾の保健食品のうち売れ行きが最も好調なのは、従来の食品形態とは異なる栄養補助食品だ。ITISの調べによると、17年の台湾栄養補助食品市場のトップシェアは乳酸菌で、市場規模(生産額ベース)は43億元。20年もシェアトップを維持し、100億元の大台に迫るとされる。

 乳酸菌に続くのはベニクスノキタケ▽酵素▽コラーゲンで、それぞれ30億元超の規模。次いでマルチビタミン、グルコサミンがそれぞれ20億元超の規模を持つとされている。

 一方、市場調査会社カンター・ワールドパネル台湾の調査によると、消費者のニーズの高い機能のトップ3は、①関節機能②視機能の維持③美容系──となっている。

 台湾でも人口の高齢化を背景にシニア層の市場が拡大している。一方で近年は若年層市場も拡大。台湾衛生福利部(日本の厚生労働省に該当)がまとめた統計によると、台湾国民のおよそ15%が変形性膝関節症を有しており、近年、30~40歳の若年・壮年層の患者の増加が目立つという。

 こうした社会状況を受けてか、関節機能を訴求する保健食品の売上げは、15年から18年まで3年連続で前年比1割以上伸長したとされ、年々増加の傾向にある。

 一方、視機能に関しては近年、ルテインがインターネットで頻繁に取り上げられるようになり、大きな注目を集めている。台湾眼科医学会が実施した調査で、台湾人は1日平均9時間以上もスマートフォンやPCなどのディスプレイを見続けることが分かっており、高齢者のみならず学生や会社員も視機能の維持に高い関心を寄せている。実際、ルテイン配合製品を昨年購入した25歳~34歳は、前年比で約3割も増加したとされる。

 この他、著名人がイメージキャラクターを務めるスキンケアや美容系の保健食品にも高い関心が集まっている。カンター・ワールドパネル台湾の統計によると、18年に台湾人がスキンケア、美容系保健食品に費やした1人当たりの金額の平均は約2500元。今後数年以内に3000元~5000元に増加するとも推測されている。

 スキンケア・美容系保健食品の中で最も支出額が多いのは、ツバメの巣やコラーゲン飲料だ。錠剤類も増加している。化粧品による外からのスキンケア・美容に加え、内側からの健康維持にも消費者は関心を寄せており、美容系保健食品としては酵素、プロバイオティクスなどの人気も高く、市場規模も年々拡大している。

【写真=台湾の保健食品市場は2020年には1500億元を突破するとの試算も】

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