小野薬品 ヘルスケア事業参入 新会社を設立 (2021.2.11)


 がん免疫治療薬「オプジーボ」を手掛ける小野薬品工業(大阪市中央区)が健康食品、サプリメント市場に参入する。今月5日に100%出資の事業会社「小野薬品ヘルスケア」を立ち上げ、健康食品、機能性表示食品などの販売を始める。本格始動する4月以降に具体的な事業計画を打ち出す予定だが、まずは、プロスタグランジンの脂質研究で培った研究資産を活用したサプリメントの開発を協業会社とともに進める方針だ。

 小野薬品工業は、医療用医薬品事業を展開する製薬準大手。「オプジーボ」の普及などで事業規模を拡げ、2015年に1600億円だった売上高を20年度に2900億円とほぼ2倍に急拡大させている。

 同社が2月1日に開催したアナリスト向け決算説明会の公開資料によると、機能性表示食品の届出に向けた準備を既に進めているようだ。具体的な機能表示の領域は明かしていないが、これまでの脂質研究を踏まえた機能性表示食品のサプリメント開発に言及している。ただ、届出までにはまだ時間がかかるもようで、「現在、2つの効能取得を目指して臨床試験を実施」しているとし、まずは一般健康食品から事業をスタートさせるとみられる。

 新会社、小野薬品ヘルスケアの設立目的について同社は、超高齢化社会の進展を背景に、「これまでの医療用医薬品の研究開発で培ってきた資産を最大限に生かし、ヘルスケア分野において健康食品・機能性表示食品事業を展開」していきたいとしている。

 新会社の社長には、小野薬品工業が新たなビジネスモデルを構築することを目的に、2019年に経営戦略本部内に立ち上げたビジネスデザイン部を取りまとめている野田康成部長が就く。資本金は1000万円。

 新会社では、健康食品や機能性表示食品以外のヘルスケア分野におけるソリューション事業も推し進めていく考えだ。化粧品やスキンケア、スポーツニュートリション、OTC医薬品、医薬部外品などの最終商品とともに、健康管理サービスなど、幅広い事業フィールドを予定。病気に対する取組みをはじめ、未病、健康にも貢献できるビジネスモデルを構築していく考えだ。

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