アンチドーピング認証 取得70社超 (2021.2.11)
サプリメントのアンチドーピング認証を国内で取得する動きが広がり続けている。最近では、医薬品領域の製品で認証を取得する企業も相次いで現われており、食品と医薬品の両市場を横断する形でアンチドーピング認証製品が増加している。代表的な認証であるインフォームドチョイスおよび同スポーツ認証を取得した国内企業は現在までに70社を突破した。認証製品を数多く展開する国内スポーツニュートリション企業が、プロ野球チームと公式サプライヤー契約を取り交わしてもいる。
第2類医薬品が認証取得
正露丸が初 米国ではスポーツサプリ
日本の一般用医薬品が世界的に運用されているサプリメントのアンチドーピング認証プログラムを取得した。アスリートも安心して摂取できる医薬品として販路を広げていくためだ。
認証を取得したのは大幸薬品(大阪市西区)だ。対象製品は、同社で製造・販売する第2類医薬品の『正露丸 クイックC』。
英国のLGC社が運用するインフォームドスポーツ(IS)認証を国内で申請し、1月28日までに取得。日本では、サプリメントのアンチドーピング認証を指定医薬部外品で取得する動きが以前から見られていたが、一般用医薬品は今回が初めて。
正露丸は、「木(もく)クレオソート」を主成分とする下痢止めの生薬として有名だが、米国では以前からサプリメントとして販売されている。
大幸薬品は2017年11月、米国でサプリメントとして販売する『SEIROGAN TOI A』(正露丸糖衣A)を、運動時などの脱水防止機能を訴求するスポーツ向けサプリメントにリブランディングして販売を強化すると発表。同年のホノルルマラソン・エキスポに出展し、サンプル製品の提供を行うなどもしつつ、アンチドーピング認証取得に向けた取り組みを開始していた。
現在、米国でサプリメントとして販売されている正露丸ブランドは、『SEIROGAN TOI A』のほか『SEIROGAN』(正露丸)の2製品。今回IS認証を取得した液体カプセルタイプの『正露丸 クイックC』についても今後、米国でサプリメントとして販売していきたい考えだ。また、正露丸ブランドの他の2製品についても、クイックCと同様にアンチドーピング認証の取得を検討するという。
同社は取材に、「IS認証取得を受け、米国においてのスポーツサプリメントとしてはもちろん、日本国内においても、スポーツをされる方々が安心して服用できる医薬品として周知拡大を行っていきたい」とコメントした。
IS認証やその関連認証であるインフォームドチョイスを国内で取得した企業は、既に70社超を数える。その中では、サプリメントに近い医薬品領域の製品で認証を取得する動きも目立っている。
これまでに、大正製薬の「リポビタンD」、エーザイの「チョコラBB」、興和の「キューピーコーワ」のそれぞれ一部製品が認証を取得。いずれも指定医薬部外品で、第2類医薬品での認証取得は大幸薬品が初となる。
IC・IS認証がけん引 認証品目数 約300に拡大
英国のLGC社が運用するサプリメントのアンチドーピング認証プログラム「インフォームドチョイス(IC)」および「インフォームドスポーツ(IS)」を取得した国内企業総数が、1月末までに70社を超えた。
日本での展開は、海外に遅れて16年12月ごろから始まったが、ドーピング検査を受けるアスリートが安心して摂取できるサプリメントの普及促進に向けた機運の高まりなど背景に、認証取得に取り組む企業が増え続けている。サプリメントの「品質」に対する第三者認証として着目されている面もあり、一般生活者向けの製品で認証を取得する動きも見られる。
IC・IS認証の日本総代理として活動するバイオヘルスリサーチリミテッド(東京都文京区)は1月28日、新たに4社が認証を取得したと発表した。初めて第2類医薬品で認証を取得した大幸薬品はじめ、大リーガー、ダルビッシュ有投手の実弟、ダルビッシュ賢太氏が代表を務めるD‐project(兵庫県神戸市)の他、アダプトゲン製薬(岐阜県多治見市)、ユニテックフーズ(東京都中央区)の4社が新たに認証を取得。これで認証取得企業の総数は72社に達した。
72社のうち最終製品で認証を得たのは計65社で、認証数としては176製品、風味違いを含む品目数としては296品目に上る。認証取得企業が認証製品のラインナップを増やしていることも数が増えている要因で、バイオヘルス社の1月28日の発表によると、元サッカー日本代表選手の鈴木啓太氏が代表を務めるAub(オーブ)、日本アムウェイ合同会社、ニュースキンジャパンなどが最終製品で追加認証を得ている。
最終製品の他に、これまでに「原材料」認証を三菱ガス化学や小林香料など計5社6原材料、「工場」認証をアダプトゲン製薬とサプリメントジャパンの計2社3工場でそれぞれ取得している。
【写真=第2類医薬品として初のインフォームドスポーツ認証を取得した「正露丸クイックC」。製造・販売元の大幸薬品は、米国で、正露丸ブランドをスポーツサプリメントして展開している(画像は同製品の発売を伝える2017年3月15日付大幸薬品プレスリリースより 英LGC社が世界で運用するアンチドーピング認証プログラム「インフォームドチョイス」および「インフォームドスポーツ」の認証ロゴ。日本での取得企業は計70社を超えている】