コロナ下の業績 〝巣ごもり〟左右 (2021.2.11)


 新型コロナウイルスの感染拡大がサプリメント・健康食品や化粧品の国内市場に影響を与えている。上場企業の本決算、第3四半期からは、巣ごもり需要を獲得した企業は業績好調の様子が窺われる一方で、店販やインバウンドで売り上げてきた企業は苦戦。訪日客消滅や外出自粛の長期化が企業の業績に打撃を与えているようだ。

ファンケル 通期業績予想を下方修正
 ファンケルは、2021年3月期の通期連結業績予想を下方修正した。売上高を従来予想から50億円マイナスの1150億円、経常利益を15億円マイナスの117億円に修正。新型コロナウイルス感染症の急速な拡大による外出自粛や、欧米を中心としたロックダウンの影響などで、第4四半期も厳しい状況が続く見通しであることから、売上高、各利益を従来予想から引き下げた。同社が1月28日発表。

 同社は同日、第3四半期の業績も発表した。売上高は対前年比12.8%減の860億9500万円、経常利益は同29.9%減の88億4400万円の減収減益。主力の化粧品、サプリメントの各事業が苦戦し減収となった。利益面でも、広告宣伝費を抑えたほか、販売手数料などの変動費が減少したものの、売上減に伴う売上総利益の減少などにより減益となった。

 直営店の店舗販売部門やドラッグストアなどを販路とする卸販売部門の苦戦が響いた。ただ、店舗販売は第1四半期時点で前年同期から7割近く売上を落としたが、第3四半期は前年同期比で4割減近くに改善するなど、店舗販売や卸販売は復調傾向にあるようだ。

 通販や中国越境ECは伸長した。第3四半期のサプリメント事業の概況は、売上高が同10.1%減の313億2900万円、セグメント利益は同12.7%増の43億7500万円だった。外出自粛が続くなか、店舗販売から通信販売への誘導や、定期販売や外部通販の強化により、通販分野は増収だった。
 また、中国越境ECが好調で海外分野も増収だった。しかし、店舗及び卸販売分野の減収分をカバーするまでには至らなかった。

 一方で、通販や店頭で展開する発芽米、青汁は好調に推移した。発芽米の売上高は同6.1%増の16億2200万円、青汁は同1.5%増の18億6700万円とそれぞれ増収だった。

小林製薬 20年度業績 インバウンド減少響く
 小林製薬は2月1日、2020年12月期連結決算を発表し、売上高は対前年比4.9%減の1505億1400万円、経常利益は同0.4%減の277億2500万円だった。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、除菌・衛生関連用品は伸長したが、外出自粛による需要減と、訪日客消滅によるインバウンド売上の大幅な減少が響いた。前の期に101億円だったインバウンド売上は、16億円にまで落ち込んだ。

 前期までインバウンドで売り上げていた更年期に対応する第2類医薬品「命の母」や、洗眼液「アイボン」などが対前年売上で70%以上のマイナス。ナットウキナーゼのサプリメントも83%のマイナスだった。

カゴメ 20年度業績 野菜飲料 増収に寄与
 カゴメは2月3日、2020年12月期の連結決算を発表した。売上高は対前年比1.2%増の1830億4100万円、営業利益は同24.1%減の106億8200万円だった。

 新型コロナウイルス感染拡大により、巣ごもり消費が加速したことで、国内における飲料や内食向け商品の販売が拡大した。一方、外食需要の落ち込みにより、外食向け商品の販売は減少した。

 国内事業における飲料カテゴリーの売上高は、同3.1%増の742億7000万円、事業利益は同31.6%増の76億6900万円。けん引したのは野菜飲料。コロナ下において、「健康に対する関心が高まり、飲用機会の増加につながった」としている。

花王 20年度業績 化粧品事業売上20%減
 花王は2月3日、2020年12月期の連結決算を発表した。売上高は対前年比8.0%減の1兆3819億9700万円、営業利益は同17.1%減の1755億6300万円の減収減益だった。

 衛生意識の高まりにより、ハンドソープや手指消毒液などホームケア製品全般で売上、利益ともに伸長した。一方、化粧品事業は、インバウンド需要の消滅、外出自粛の影響もあり、売上、利益ともに大きく落ちこんだ。前年比で22%マイナスだった。

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