富士経済 20年サプリ市場 微増 (2021.2.25)
機能志向食品(サプリメント)の2020年市場規模は前年比微増にとどまるとする調査結果を市場調査会社が取りまとめ、2月17日公表した。一部のカテゴリーで「特需」が見られたという。しかし、新型コロナ禍に伴う訪日客の大幅減によってインバウンド需要が落ち込み、美容分野などが苦戦した。
市場調査会社富士経済(東京都中央区)の調べによると、20年の国内機能志向食品(サプリメント)市場規模は、見込みで9483億円となった。前年比は0.6%の増加が見込まれるとしており、微増にとどまる見通しだ。
富士経済の調べで20年の同市場は、新型コロナウイルス感染症が広がる中で一部の機能カテゴリーに「特需がみられた」という。同社は特需が見られた分野として、整腸効果▽免疫賦活作用▽マルチバランス▽生活習慣病予防などを挙げた。そのうち、生活習慣病予防の20年市場規模は、前年比4%増の1185億円が見込まれるとする。
生活習慣病予防市場を機能別にみると、高血圧予防が前年比18.3%増の見込みと伸びが大きいとしている。次いで、血糖値改善が15.6%増、認知機能サポートが3.0%増、中性脂肪値・コレステロール値改善が2.1%増──のそれぞれ見込みだとする調査結果を同社は2月17日に公開した。
新型コロナ下で病院の受診を控える動きなどがあるため、「セルフメディケーションの意識が高まっており、市場は拡大するとみられる」としている。
このほか、20年好調だった機能カテゴリーとして同社は、外出自粛に伴う運動不足解消ニーズも捉えた「スポーツサポート」と、「ストレス緩和・睡眠サポート」の2カテゴリーを示した。スポーツサポートの20年市場規模は、19.0%増の713億円、ストレス緩和・睡眠サポートは、7.6%増の127億円がそれぞれ見込まれるという。
一方、「美容効果」については「苦戦している」と指摘。その背景としては、「訪日客の減少によるインバウンド需要の落ち込み」があるとする。新型コロナは、機能志向食品(サプリメント)巡る特需を一部で生んだ半面、一部商材が不振に陥る要因をつくったことになる。