健康寿命延伸 予防が大切 国立6機関が共同提言(2021.3.11)
国立がん研究センターなど国立研究開発法人6機関が健康寿命延伸のための提言を連携して取りまとめた。日本人の健康寿命延伸に必要なエビデンスに基づく「予防行動」等を疾患横断的にまとめたもの。疾患をまたぐ形で予防に向けた提言や指針を示すのは日本では初の試みだという。「食」に関しても提言。食物繊維や魚、大豆製品を多く摂取すること、年齢に応じて脂質や乳製品、たんぱく質の摂取を工夫することなどを提言した。
行動指針を提示
国立研究開発法人の高度専門医療センター6機関が連携して取りまとめたのは、「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」。先月19日、6機関の連名で発表した。今後、6機関が連携してコホート研究を推進、日本人を対象にしたエビデンスの構築を進め、提言の更新を継続していく方針も明らかにした。第二次、三次と更新されていく見通しだ。
提言では、各機関がこれまでに蓄積してきたコホート研究結果等のエビデンスに基づき、健康を左右する喫煙▽飲酒▽食事▽体格▽心理社会的要因▽感染症▽健診・検診の受診と口腔ケア▽成育歴・育児歴▽健康の社会的要因の10項目について、「予防行動等に関する国民一人一人の目標」および「個人を取り巻く社会的要因に関する公衆衛生目標」を提示した。
食事では、年齢に応じて多すぎず少なすぎずバランスの良い食事が基本になる。その上で、食物繊維を多く摂取することでがんや循環器疾患等の予防につながること、高齢者のサルコペニア予防には十分なたんぱく質の摂取が必要であること、魚を多く摂取することで循環器予防につながること──など様ざまな食品と疾患予防の関係を個別具体的に示した。
提言を取りまとめたのは、国立がん研究センターはじめ国立循環器病研究センター▽国立精神・神経医療研究センター▽国立国際医療研究センター▽国立成育医療研究センター▽国立長寿医療研究センターの6機関。健康寿命延伸を疾患予防の側面から捉えると、「疾患を個別に予防するのではなく、様々な疾患を横断的にいかに予防できるかがとても重要になる」としている。