医薬品成分 THCではなくメラトニン (2021.3.25)
米国から日本に輸入、流通していたCBD(カンナビジオール)含有グミから、国内では医薬品成分のメラトニンが検出された。薬機法違反(無承認医薬品の販売など)に該当するため、販売元は所轄自治体から販売中止等を指示され、自主回収を進めている。国内でCBD製品からメラトニンが検出されたのは初とみられる。
東京都は3月12日、渋谷区のCIGAが輸入販売していたアメリカ産の『HEMP Baby CBDグミ』からメラトニンが検出されため、同社に対して販売中止と自主回収を指示したと発表した。CIGAは同日、自主回収を行う旨をホームページで告知し謝罪した。
都は、当該商品にメラトニンが含まれる可能性を指摘する情報提供を外部から受けたのを端緒に、同商品をインターネットサイトで購入し、都健康安全研究センターに分析を依頼。その結果、グミ1個あたり1.5~3.7㍉㌘のメラトニンが検出されたという。当該製品は昨夏にインターネット上で販売が始まり、これまでに5千~1万個が販売されたとみられている。
メラトニンは、国内では2020年に医薬品として初めて承認。小児向け入眠改善剤(医療用医薬品)の有効成分として使用さている。
一方で、米国では、健康的な睡眠が得られることを訴求するサプリメントに使われていることで知られる。
販社、「混入」しかし量多く
当該商品を巡りインターネット上では、不眠への効果を言及する記述が複数みられる。他方、CBDについても、不眠やストレスに対する効果があるなどとする見解を述べる記述がネット上では目立つ。
CIGAは、メラトニンの検出についてホームページで、「公式の成分表」にメラトニンの記載はなかったとし、「混入していた可能性がある」と説明している。
ただ、メラトニンの有効摂取量は1日あたり数㍉㌘程度。日本で承認されている医薬品の用量は1日1回1㍉㌘、最大でも1日4㍉㌘とされており、仮に、製造工程のどこかで混入してしまったのだとしても、それにしては検出量が多いといえそうだ。
同社によると、当該商品を製造しているのは米国のHappy Lab社(フロリダ州)。自主回収を進めているのは、昨年7月下旬から12月3日まで販売していたもので、同4日以降から現在まで販売している商品については、メラトニンは検出されていないとしている。
国内で流通しているCBD製品は、原則、海外で製造されている。輸入事業者は、大麻取締法で規制される部位に多く含まれる幻覚成分THC(テトラヒドロカンナビノール)が検出されないようナーバスになっているが、一方、医薬品成分のメラトニンがCBD製品から検出された今回の問題は、新たな懸念材料が出てきたことを意味しそうだ。
今後、未承認医薬品の国内流通を防止する行政の買上調査対象の中に、CBD製品が引き上げられる可能性も考えられる。
【写真=メラトニンが最大で4㍉㌘検出されたCBDグミ。原産地は米国(画像は東京都発表資料より)】