学会の季節 会場はウェブ 機能性食品関連の発表も多く(2021.3.25)
食品の機能性について最新の研究成果が報告される学術団体の年次大会が開催されている。昨年は、例年通りリアル開催を予定していた矢先に新型コロナウイルスの感染が広がり始め、開催を断念する学会も多かった。今年は、リアルとオンラインを合わせたハイブリッド型で大会を計画するなど、感染予防対策に万全の体制を整えて開催に臨んでいる。
農芸学会、一般講演1300件
日本農芸化学会の2021年度大会は今月18日から21日の4日間、一部授賞式を開催地の仙台からライブ配信し、ほかはすべてオンラインで発表するハイブリット型で開催した。
今回の大会では一般講演1299件はじめ、シンポジウム25題、スポンサードシンポジウム(旧ランチョンセミナー)9題のほか、恒例となった産学官学術フォーラムもオンラインで行われた。
シンポジウムのうち、食品の機能性に関わる演題では、「プレシジョン栄養学が拓く未来の健康食品栄養学」(医薬基盤・健康・栄養研究所、阿部圭一氏ら)、「食品タンパク質由来の健康機能性ペプチド研究の最先端」(九州大、松井利郎氏)などが行われた。
スポンサードシンポジウム9題のうち、食品機能については、「科学と技術の結実、健康を導くポストバイオティクス〝HYA〟の幕開け―腸内細菌による腸管内代謝と宿主エネルギー糖代謝異常症―」(Noster)、「ビタミンKの新たな作用と健康機能」(キッコーマン)の2題が行われた。
一般講演からは、「乳由来βラクトリンの頭頂葉領域の神経活動活性化による注意集中力向上」「レジスタントスターチ摂取が便秘の訴えを有する女性の排便状態と腸内フローラに及ぼす影響」「黒ショウガによる脳認知機能改善効果の可能性」など、これまでの大会同様に食品の機能性研究が多数報告された(図表参照)。
来年の学術大会は、日程は未定。決まり次第、ホームページで告知するという。
薬学会、26日から4日間
日本薬学会の第141年会は、今月26日から29日の4日間、オンラインで開催する。今回のテーマは、「革新的創薬と持続的医療の融和」。
同大会では、会頭講演、基調講演はじめ、日韓合同などの国際交流シンポジウムを含めたシンポジウム52件、一般口頭発表1028題、ポスター発表1509題を予定する。同学会の年次大会は薬学領域が中心の発表だが、食品分野での最新研究成果も数多く発表される。
一般シンポジウムからの機能性食品に関する演題では、「カロテノイド研究に対する薬学からのアプローチ」の枠組みで、「運動器疾患とβ‐クリプトキサンチン」「フコキサンチンの代謝性疾患への応用」、「機能性食品開発を指向した非晶質β‐カロテンの作製とその評価」などが行われる。
一般学術発表(Webポスター)枠におけるポスター発表からは、「アグアヘ抽出物の前立腺肥大抑制作用」「ブラジル産プロポリス(AF‐08)と成分フラボノイドの血栓症に対する有効性評価」「イチョウ葉成分のヒト神経様細胞に対する分化誘導および細胞保護作用」「麹菌発酵由来多糖類による非アルコール性脂肪肝進行の抑制」「カルノシン酸及びピシフェリンの加齢性疾患予防効果」など、食品機能の最新知見が発表される(図表参照)。
来年の年次大会は、3月25日から28日の4日間、名古屋国際会議場などを会場に行う予定。