5-ALA巡り注意喚起 国内製造元「模倣品が流通」(2021.4.8)
特許等に抵触の恐れ指摘
製造方法等に関する知的財産権や食品衛生法の規定に抵触する可能性のある5‐ALA(5‐アミノレブリン酸リン酸塩)を配合した商品の国内流通が認められるようになったとして、5‐ALAを国内自社工場で製造・販売するネオファーマジャパン(東京都千代田区)が、消費者やサプリメント・健康食品業界関係者などに向け、注意喚起を行っている。
5‐ALAは、サプリメントなど機能性食品の有用成分として注目度がここにきて急上昇中。長崎大学とネオファーマジャパンが今年2月、同社製5‐ALAを使った細胞試験で、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスに対する感染抑制効果が確認されたと発表したことが背景にある。
同大らは現在、新型コロナ感染症患者(軽度、中等度)を被験者に、その治療効果を検証する特定臨床研究を進めてもいる。
長崎大らの発表以来、5‐ALAの配合を訴求するサプリメントを新たに発売する動きがインターネット上で目に付くようになった。海外で製造された5‐ALAを配合しているとみられる。
ただ、ネオファーマジャパンでは、そうした海外製造品は、同社製の5‐ALAを真似た「模倣品」だと指摘。一般消費者やサプリメント業界関係者に対して、十分注意するよう求めている。
同社によると、5‐ALAの製造方法等に関しては、特許(第4417865号ほか)が存在する。また、5‐ALAが食薬区分の専ら非医薬品リストに新規収載(2013年)された際、同リストにおける5‐ALAは「光合成細菌(ロドバクター・セファロイデス)の生成したもの」と定められた。同社によると、「製造方法および塩の形などをも含めて規定されている」。こうした背景を踏まえて同社では、同社製の5‐ALAは、同特許や食品衛生法の「規定に則り製造販売している」と強調する。
現在、ネオファーマジャパンの国内工場製5‐ALAを配合したサプリメントを販売しているのは、SBIアラプロモを筆頭に、エーザイ、ダイドードリンコ、日邦薬品工業等に限られるという。長崎大の研究発表以来、業界関係者からの引き合いが多数寄せられているが、現時点では既存取引先以外に原材料販売やサンプル提供を行う「予定はない」としている。
5‐ALAの製法等に関する特許は、以前、5‐ALA事業を手掛けていたコスモ石油が取得したもの。一連の特許は現在、コスモ石油から5‐ALA事業を引き継いだ、ネオファーマジャパンの親会社にあたるneo ALAが保有。ネオファーマジャパンは、親会社から通常実施権を付与される形で同特許に基づく5‐ALAを製造販売している。
同特許はまた、2008年にコスモ石油とSBIホールディングスのジョイントベンチャーとして設立されたSBIファーマにも独占的通常実施権が付与されている。ネオファーマジャパンでは、「現在、5‐ALAを用いた商品の製造販売等を適法に行っているのは、当社グループおよびSBIファーマのみ」だとしている。
【写真=国内工場で5-ALAを製造するネオファーマジャパンが公表した注意喚起文書】