食薬区分、一部改正が通知 4原材料追加 一部に疑問の声(2021.5.27)
薬機法に基づく食薬区分の「もっぱら非医薬品」(医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質「原材料」)リストに、ガルシニアインディカなど計4原材料が追加された。厚生労働省医薬・生活衛生局の監視指導・麻薬対策課が5月12日付で都道府県に通知。同課は今年3月、食薬区分の一部改正案を示し、意見募集(パブコメ)を行っていた。
もっぱら非医リストに新たに追加されたのは、植物由来物等として「ガルシニアインディカ」の果皮および「キバナオランダセンニチ」の葉・花・茎葉の他、化学物質等として「ジオスゲニン」(非配糖体に限る)および「テアクリン」の計4原材料。
また、もっぱら非医リストに以前から収載されていた「ゴマ」の部位に、「地上部」を追加した。同課が改正案で示した改正点をほぼそのまま反映する形となった。
一方で、もっぱら非医リストに化学物質等の枠組みで新規収載した非配糖体ジオスゲニンを巡っては、パブコメで非医リスト入りを疑問視する声が複数寄せられた。
有識者が安全性などを踏まえて非医リスト入りを判断したが、食品としての安全性を懸念する意見もあった。これら意見は事業者らが寄せたものとみられる。
同課によると、今年3月1日から同月末まで実施したパブコメには3名5件の意見が寄せられた。いずれも非配糖体ジオスゲニンに関するもの。そのうち1件では、「ヒトでの安全性をもう少し見極めてからリストに加えるべき」と意見した。
別の1件では、「量的な制限なしに食品に使用すると健康を害することが危惧」として安全性を懸念。これは、もっぱら非医リスト収載成分および原材料の使用基準や使用限度量などは薬機法上規定されないことを踏まえた意見で、摂取量が多くなりがちな化学物質等の枠組みで非配糖体ジオスゲニンを専ら非医リストに加えることに反対した形だ。
ジオスゲニンは、ヤマイモなどの植物中にも含まれているが、その構造は主に配糖体とされる。また、ジオスゲニンの含有量を規格化したヤマイモ抽出物が国内で以前から流通されているが、このジオスゲニンも非配糖体化したものではないとされている。
化学物質等としての非配糖体ジオスゲニンの流通が始まると、既存のジオスゲニン含有原材料にどのような影響を与えるのか。非配糖体ジオスゲニンの食薬区分を照会した事業者の動きを含め、ジオスゲニンを巡る今後の動向が注目されそうだ。