原材料供給 本格化の狙い 神鋼環境ソリューション(2021.6.24)

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パラミロンの認知向上と市場拡大めざす 神鋼環境ソリューション 川守 秀輔 藻類事業推進室 マーケティンググループ長 

 機能性表示食品対応素材の原材料供給に乗り出した企業がある。β‐グルカンの一種パラミロンを高含有するユーグレナグラシリスEOD‐1株(以下、パラミロン)の製造・販売を手掛ける神鋼環境ソリューション(神戸市中央区、神戸製鋼グループ)だ。これまで原則として原材料供給には応じていなかった。このタイミングでBtoB事業に本格参入する狙いと同事業に関する今後の展望を、新規事業推進部 藻類事業推進室の川守秀輔・マーケティンググループ長に聞いた。

──今年3月、パラミロンの原材料供給を本格的に開始すると発表しました。2017年の市場参入以来、一部の例外を除いて行っていなかったことです。このタイミングで原材料供給を始めることにした理由を聞かせて下さい。

 「ようやくここにきて原材料供給に対応できる体制が整ったからです。パラミロンの製造・販売は神戸製鋼グループにとって初めての食品事業。食品用のプラントを初めて作り、パラミロン事業を開始したわけですが、健康食品の原材料に求められる製造・品理管理や、品質を保証するための一連の工程には未知の部分がありましたし、それに対応していくために社内の管理体制など陣容を整える必要もあった。時間を要してしまいましたが、そうした原材料供給に必要な体制をようやく整えることができたということです」

 「販売代理店などはつくらず、私たちが直接、お客様の顔を見ながら、パラミロンを原材料として販売していきます」

BtoBとBtoC事業の両輪に
──グループ会社のミカレアを通じて最終商品(サプリメント)の通販を手掛けています。これまではそれが主要事業だったわけですが、パラミロンの原材料供給を始めることで、ミカレアの競合を増やすことにもなりそうです。その点はどう整理していますか?

 「原材料供給を開始したのは、パラミロンの認知度を高めるとともに、パラミロンの市場拡大を国内外で実現するためです。ミカレア1社だけでは限界がある。BtoC(最終商品販売)とBtoB(原材料供給)をパラミロン事業の両輪とすることで、中長期的には、現在とは比べものにならない数十倍のボリュームが見込めます」

──原材料供給にあたって制限を設けますか?サプリメント形状はNG、一般加工食品に限る、などといった制限のことです。

 「ミカレアの商品とそのまま同じ、という場合はさすがに制限を掛けさせていただくことになりそうです。ただ、それ以外では、サプリメントから明らか食品まで幅広くお使いいただくことで、パラミロンの認知度が大きく高まっていくことを望んでいます。サプリメントにしても、ミカレアの商品はパラミロンのみをカプセルに充填したものですから、異なる商品を開発する余地は十分あります。ですから、パラミロンの機能を期待できる有効量をしっかり配合していただければ、商品の形状に制限を設けるつもりはありません」

届出支援に対応 分析ノウハウも
──神鋼環境ソリューションのパラミロンは、機能性表示食品の機能性関与成分として届出実績があります。ヘルスクレームは「疲労感の軽減」。パラミロンの原材料供給に当たっては、併せて届出サポートも行うと聞いています。

 「システマティックレビューなど届出に必要な資料を提供します。他に、分析に関するサポートも。パラミロンの分析は少し特殊なところがあって、食品の種類や複合する素材、あるいは製剤的特性によって、十分な前処理を行った上で分析する必要があります。そのあたりのノウハウも提供していきたいと考えています」

精神的な疲労感軽減機能新たに
──パラミロンは現在、「身体的疲労感」と「精神的疲労感」の両方について軽減機能を訴求できます。機能性表示食品として展開していくことを目的に原材料供給を望む先も少なくなさそうです。

 「先月、展示会に初めて出展し、パラミロンの原材料供給に関するアピールを本格的に始めたのですが、実際、機能性表示食品として展開できる点で関心が高かったように感じます。とはいえ、まだまだこれからです。提案活動をしっかり進めていく必要があります」

 「ちなみに、精神的な疲労感軽減は新しく受理されたヘルスクレームです。ちょうど今日(※取材日の6月10日)から、そのヘルスクレームを追加した機能性表示食品の販売をミカレアが始めます。この商品を通じてもパラミロンの認知度を高めつつ、それがBtoB事業の拡大にもつながっていく循環を作りたいと思っています」

──パラミロンの機能性については、免疫(免疫グロブリンA)に及ぼす機能があることも示唆されています。機能性表示食品として可能なヘルスクレームを免疫領域にまで広げる考えは。

 「昨年、業界内で大きく話題になりましたから、我々としても考えなくはありません。ただ、パラミロンの機能性の本質を考えると、疲労感軽減にしても免疫にしても一部分にすぎない。パラミロンの機能性としては他にも、脂質代謝改善機能なども示唆されているのですが、これらの機能性の根本には、パラミロンが生体のホメオスタシス(恒常性)を維持していることがあると考えられます」

 「つまりパラミロンは、人の健康を保つ『ベースメントサプリメント』として役割を果たせる可能性があるということ。今後も機能性研究に投資し、個別の機能性について臨床試験を行うなどしながらエビデンスを積み上げていきます。その上で、最終的には、ホメオスタシスの維持を訴求できるようになると最高ですよね。現状ではかなり難しいと思いますが、そこを目指しています」

【写真=左:神鋼環境ソリューション川守 秀輔藻類事業推進室 マーケティンググループ長 右:原材料供給の本格スタートに際して制作したロゴマーク。「高機能・高品質」なEOD‐1株由来パラミロンのブランド構築を図る狙い】


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