アフィリエイト広告 検討会の議論スタート(2021.6.24)
消費者庁、「年内に結論」
広告制作者(アフィリエイター)に成果報酬が発生したり、表示内容の責任主体があいまいだったりするため虚偽・誇大表示が生じやすいなどと指摘されているインターネット上の「アフィリエイト広告」について、不当表示防止策や規制策などを検討する有識者検討会の第1回会合が6月10日、オンランイン形式で開催された。主催するのは消費者庁。景品表示法等の執行を担当する表示対策課が事務局を務める。
健康食品・サプリメントの販売にアフィリエイト広告を利用するケースも目立ち、検討会での議論の行方は健康食品市場に影響に及ぼす可能性がある。
また、アフィリエイト広告は、インターネット通販での詐欺的な定期購入商法の「入り口」の役割を果たしている場合がある。国民生活センターでは、「アフィリエイトサイトなどをきっかけに販売サイトにアクセスするケースが多くなってい」と指摘している。
検討会の初回会合では、一部の委員から、健康食品のアフィリエイト広告を強く問題視する意見が上がった。意見したのは、消費者団体FOOCOM(フーコム)代表の森田満樹委員。
森田氏は、「(健康食品に関するアフィリエイト広告以外の)一般の広告はある程度改善されてきたが、ここ5年でむしろアフィリエイト広告は過激さを増している」と指摘。「機能性表示食品についても、一般の広告は抑え気味の一方で、アフィリエイト広告では虚偽・誇大表示になっているものもある」とも述べ、健康食品のアフィリエイト広告の問題を追及する姿勢を見せた。
今回の検討会は、弁護士などの法律専門家、消費者団体関係者の他、日本通信販売協会、日本インタラクティブ広告協会を始めとする業界団体幹部など計11名で委員を構成。座長には、神戸大学大学院法学研究科の中川丈久教授が就いた。
効率の良い広告 一方で不当表示
アフィリエイト広告は一般的な広告と異なり、広告を制作、掲載するのは広告主ではなくアフィリエイター。一般的な広告と比べて費用がかからず、多額の広告投資が難しいスタートアップ企業などが活用しやすい成果報酬型の広告であるため需要が高い。足もとの市場規模は3000億円を超えているとされ、今後も右肩上がりの拡大が見込まれている。
その反面、成果報酬を追求するアフィリエイターによる虚偽誇大広告の横行や、広告表示に直接関与しないため広告主の責任意識の希薄化などが懸念されており、消費者庁は昨年末、アフィリエイト広告の実態調査に着手していた。
消費者庁では、今回の検討会を通じてアフィリエイト広告の不当表示防止策などを検討し、年内に一定の結論を得たい考え。また、実態調査の結果を今夏までに取りまとめ、公表し、検討会の議論の参考にする。