令和2年度 食品表示に関する消費者意向調査報告(2021.7.29)


認知度、摂取率伸び悩む 機能性表示食品 摂取中止理由に「実感なく」
 消費者庁が7月8日公表した令和2年度版「食品表示に関する消費者意向調査報告書」で、機能性表示食品の認知率の伸びが、前回調査報告書(令和元年度)から2ポイント余りにとどまった。また、現在摂取している人の割合の伸びは2ポイント以下と低調。さらに、これまでに摂取したことがなく、今後の摂取意向もない、と答えた人の割合は、依然3割台が続いている。

 調査は全国の15歳以上の日本国籍を持つ消費者を対象に、今年3月上旬、インターネットを使ったアンケート方式で実施。1万1000件超の有効回答から1万サンプルを無作為に抽出した。消費者庁は、平成28年度以降、同調査を毎年度実施。消費者の食品表示に対する理解度を定点観測的に調べている。

 保健機能食品の認知を尋ねる設問では、「どのようなものか知っている」と回答したのは18.4%。前回調査時と比較して0.3ポイント減少した。「聞いたことはあるが、どのようなものか知らない」は59.5%と約6割に達した(前回調査は61.7%)。

 保健機能食品のうち機能性表示食品の認知を尋ねる質問では、「どのようなものか知っている」と回答したのは20.7%だった。前回調査は18.0%で、機能性表示食品の販売品目数が増えている中で、伸び率は2.7ポイントにとどまった。「聞いたことはあるが、どのようなものか知らない」は64.6%、「聞いたこともなく、どのようなものかも知らない」は14.7%。

 また、機能性表示食品の摂取経験を尋ねる設問では、「現在摂取している」と回答した人は16.6%だった。前回調査から上昇したが、1.8ポイントにとどまった。また、「以前摂取していたが、今は摂取していない」は17.3%と前回調査から1ポイント上昇した。「これまでに摂取したことはなく、今後摂取する予定もない」は33.3%。前回調査の35.0%からは減少したが、3割台が続いた。
 ただ、「摂取したことはないが、今後摂取してみたい」は32.8%(前回調査34.0%)と、引き続き3割超が摂取したい意向をもっていることがわかった。

摂取する理由 機能性に期待
 令和2年度調査では、機能性表示食品を「現在摂取している」と回答した人(1656人)を対象にした設問も設けた。摂取している理由を複数回答で尋ねたところ、最多は「表示されている機能(機能性)を期待しているため」で65%。次いで、「安全性が担保されているため」(19.3%)、「表示されている機能(機能性)にかかわらず、商品自体を気に入っているため」(17.7%)、「特に理由はない」(11.8%)と続いた。

 特定保健用食品、栄養機能食品についても同様の質問を行っており、回答結果は機能性表示食品と同じ傾向だった。保健機能食品を購入する消費者が最も期待しているのは、表示されている機能性そのものであることがうかがわれる。

 一方で、表示された機能性を実感できなかったために摂取をやめる人が一定の割合で存在することが今回の調査でわかった。

 令和2年度調査では、保健機能食品を「以前摂取していたが、今は摂取していない」と回答した人を対象に、その理由を複数回答で尋ねる設問も設けた。その結果、機能性表示食品(1729人)に関しては、最多は「価格が高いため」で34.8%。それに次ぐのは「特に理由がない」で30.8%。そして「期待している機能(機能性)を実感できなかったため」が21.4%で続いた。

 機能性を実感できなかったことを摂取中止の理由に挙げた人を性別に見ると、男性は22.3%、女性は20.6%と男性のほうが多かった。とくに男性70代以上は36.3%と、性別・年代別で最も割合が高かった。

 特定保健用食品に関しても、期待している機能性を実感できなかったことを摂取中止の理由に挙げた人が22.5%と2割を超えた。

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