偽サプリ問題、驚きと憤りの声 (2021.8.12)
大塚製薬が販売するサプリメント『エクエル』の偽物がフリーマーケットサイトで売られていた問題(第1045号既報)。業界関係者は驚きと憤りの声を上げる。
「サプリの偽物なんて話は聞いたことがない」。健康食品業界歴約30年の人物はこう語る。
「化粧品に関しては偽物が海外で製造、販売されている話はよく聞く。しかし、サプリメントの偽物は経験がない」と話すのはある販売会社大手の関係者だ。
「消費者に対する信用問題につながる。許せない」と憤るのは、前述とは別の販売会社大手の関係者。「消費者に不安を与える行為で遺憾に思う」との声も聞かれた。
一方、エクエルの偽物が販売されていたことを巡り消費者庁が消費者安全法を適用し、消費者に注意喚起を行ったことに、首を大きくかしげる業界関係者もいる。「今後、ブランド品の偽物の販売が明らかになるたび同じこと(=消費者安全法の適用)をするつもりなのだろうか」と疑問を呈す。
他方で、エクエルの偽物が製造・販売されていた事実が明るみになった今回の問題が示唆するのは、それ以外のサプリメント・健康食品についても、偽物が製造・販売されている可能性だ。
どのような製造・品質管理が行われているか得体が知れず、偽物だと気づかずに摂取した人が健康被害を受けないとは限らない。消費者庁は今回の偽サプリ問題を消費者の財産被害の見地から捉えているが、本質的には、食品安全にかかわる重大事と見なすことができる。
エクエルの偽物を誰がどこで製造していたのかは、現在までのところ分かっていない。国内サプリメント・健康食品受託製造企業の関係者は語る。「偽物に使われていた乾燥剤(シリカゲル)の包装(の写真)を見る限り、海外でつくられたもののように思われる。国内で製造されたのではないことを祈るばかり」
【写真=乾燥剤の比較写真。左が正規のエクエル、右は偽物(写真出所=消費者庁)】