21年調査 売上好調だった上半期 特に通販 2ケタ増(2021.8.26)
2021年上半期(1~6月)の健康食品・サプリメントの消費・売上動向を、3つの調査=総務省による家計調査(2人以上世帯)▽日本通信販売協会(JADMA)による月次通販売上高調査▽経済産業省の商業動態統計調査=から振り返る。20年初頭から続く新型コロナ禍は、健康食品・サプリメントの消費、売上にどんな影響を及ぼしたのか。
21年上半期にもっとも好調な動きを見せたのは、通信販売チャネルで展開される健康食品だ。
JADMAが会員企業約130社を対象に毎月実施している通販売上高調査で、今年1~6月の「健康食品」の売上高は合計888億4600万円となった。前年同期比は約10%のプラスと2ケタの伸び。前年の同じ月と比較した伸び率は6カ月連続の増加を示しており、19年の調査結果も含めると、連続増加記録は13カ月に伸びる。
外出せずに買い物ができる通販は新型コロナ禍で利用が大きく拡大した。JADMAの調査で20年度の国内通販市場売上高は前年度から20%以上も増加。10兆円を突破することになった(関連記事を7面に)。
その上で、生活者の健康維持増進ニーズの高まりもあり、通販健康食品の売上高が相乗的に底上げされた格好だ。新型コロナの収束が見えない中では、7月以降も増加基調で推移すると考えられる。
DgSも好調 前年を上回る
一方、店頭で販売される健康食品の売上高はどう推移したのか。
経産省が毎月実施している商業動態統計調査における今年1~6月のドラッグストア(DgS)での健康食品の販売額を追うと、合計販売額は約1125億円となった。前年同期は約1093億円であり、約3%増加したことになる。
1、2月は連続して前年同月を下回ったが、それ以降は6月まで4カ月連続増ともち直すことになった。
プロテインやダイエット訴求サプリメントの動きが活発だったとみられる。伸び率は通販ほどではないが、インバウンド消費がほぼゼロである状況が続いていることを考えれば、店頭販売の健康食品・サプリメントの動きも好調だったといえる。
一方、前年と比べて低調な数字を示したのは、家計調査(2人以上世帯)におけるサプリメントなど「健康保持用摂取品」に対する1世帯あたりの支出額だ。
21年に入ってから前年同月を割り込む月が目立つようになり、1、3月を除いて減少した。この結果、1~6月の合計支出額は6800円と、7000円を下回る結果に終わった。
ただ、前年の1~6月は合計7042円で、落ち込みはわずかにとどまる。また、全体としては減少したが、世帯別の1世帯あたり支出額を見ると、「勤労者世帯」は前年1~6月の数字を上回る。
家計調査は 様相異なる
健康保持用摂取品の主要消費層とみられる「勤労者以外の世帯」も同様で、前年1~6月の合計支出額は8696円だったのに対し、今年1~6月は8717円とわずかだが上回った。ただ、前年の1月は約20%減少していたことが影響している面もあると考えられる。
家計調査の昨年の数字を追うと、4~8月は連続して2ケタ増を記録。伸び率は最低で15%台、最大で50%台という大きな伸びを示した。背景には、新型コロナ禍で健康維持増進ニーズが大きく高まったことがあると考えられた。しかし、9月以降は大きく失速。一部には、「〝コロナ慣れ〟が要因」などと指摘する声もあがった。
とはいえ、21年を迎えても、通販、店販ともにサプリメント・健康食品の動きは悪くない。問題は、この好調ぶりがいつまで続くかだが、こと購入手段として利便性の高い通販に関しては、当面のところこの勢いが続きそうだ。家計調査にしても、前年の伸びが大きかったため8月までは減少傾向が続くと考えられるものの、新型コロナの感染拡大状況を鑑みれば、9月以降はふたたび増加に転じる可能性がある。下半期の消費動向が注目される。