モロヘイヤ一筋 青粒兄弟、次の一手 (2021.8.26)

青粒兄弟 写真1① 青粒 工場 写真2③

30周年機にリブランディング 専門サイトで情報発信も
 モロヘイヤ一筋で健康食品の開発・製造・販売を行う青粒(神戸市北区)は、今年8月31日に、創業30周年を迎える。創業者永原靖久氏の後を継ぎ、2019年に代表取締役社長に就任した長男の永原豊大社長と次男の永原盟千副社長は、地方TV局などに「青粒兄弟」として紹介される異色の経営陣。昨年には地方自治体と包括連携協定を結び、今年7月に廃校となった小学校を工場化するというユニークな事業活動を進めている。近日30周年を迎える同社が、今後どのような企業戦略を取るのか。若き経営陣兄弟に話を聞いた。

――今年で創業30周年。創業時から原材料としてモロヘイヤ一筋にこだわり続けている理由について教えてください。

 社長「私たち兄弟の父(永原靖久氏・現会長)が、現『青粒』の前身である『有限会社関西21』を1991年に創業したときに販売したのが、『モロヘイヤ粒』です。当時、知人の紹介で、モロヘイヤ食品に出会った父が、モロヘイヤにほれ込んで事業化を決意し、母と2人で始めた会社が当社。当時の両親の強い思いが、現在私たち兄弟に引き継がれてきています。今後10年ぐらいは、よほどのことがない限り、モロヘイヤ以外の食品に、〝浮気〟することはないと思います(笑)」

――創業当時の1990年前後には、日本全国でモロヘイヤブームがありました。その影響では?

 社「ブーム以来と勘違いされるのですが、当社がモロヘイヤ粒の販売を始めたのは、ブーム以前からなのです。むしろ、創業から現在に至るまで一過性の流行やブームに左右されない『食を通じた真の健康づくり』が両親と、そして私たちに引き継がれた信念です」

――真の健康づくりの素材としてモロヘイヤを選択した?

 社「モロヘイヤはβカロテン、ビタミンB2、ビタミンE、カルシウムなど、それぞれの含有量が他の緑黄色野菜と比較しても高く、抜群に栄養価の高い野菜として知られています。健康食品の主要原料として、ふさわしい野菜だと考えます」

――現在のコロナ禍での売上状況はいかがですか?

 社「前年比でやや減です。現在のお客様の方々の多くはすでに20年以上もご愛用していただいておりますが、その年月に応じて高齢者の方の割合が増えてきたこともコロナ禍以外の一因と考えます。メインターゲットを40~50代に再設定すべく、現在対策を練っているところです」

――その再設定は、やはり創業30周年がきっかけの一つ?

 社「そうですね。皆様とともに歩んできた当社は、両親から私たち兄弟へと代替わりいたしました。両親からもらった健康という名のかけがえのない愛情は、私たちのお客様に還元したいと考えております。ご愛顧いただいているお客様のお子様や孫の方々へ健康をお届けすることが、両親から譲り受けた我々兄弟の役割です」

――具体的には何をしますか?

 副社長「リブランディングを行う予定です。正式な発表は当社創業の日であり『野菜の日』である8月31日です。当社ホームページもリニューアルし、新パッケージを発表、8月31日受注分より新パッケージでの発売となります」

――モロヘイヤの普及・啓発にも注力されていますね。

 社「モロヘイヤは一大ブームを巻き起こした野菜ではありますが、日本では2000年代半ば以降、生産量や出荷量が減り続けています。現在、当社ではモロヘイヤの魅力をもっと知っていただくために、当社が開設したモロヘイヤ専門サイト『モロラボ』を通じてモロヘイヤの情報を発信。モロヘイヤの美味しい食べ方、栽培方法、栄養情報、そして、モロヘイヤの生産者や、モロヘイヤで町おこしをしている地域のことなどの最新情報をお届けしています。また、モロヘイヤの栄養分析や、臨床試験データなど、健康に関する情報も、総力を挙げて発信しているところです」

――タレントの小島よしおさんが新しく入隊なさったという御社の「モロヘイヤ応援隊」(※隊長は社長)も普及の一環ですか。

 副「小島さんはユーチューブで『野菜の歌』を次々に発表なさっていて、子供たちに大人気なんです。モロヘイヤの歌を作るときにはモロラボも参考にしていただいたそうです。モロヘイヤ情報のことならなんでも扱うモロラボで、小島さんに取材したときに入隊勧誘をしたところ、快く応じてくださいました」

――「青粒兄弟」のネーミング由来について教えてください。

 社「これは弟がユーチューブ活動をしているときに、ついてしまった呼び名で(笑)」

 副「いえ、いろいろ考えたんですけど、やはりわかりやすいからこれでいいかな、と(笑)。今後も青粒兄弟でモロヘイヤ普及活動は続けていきます」

――昨年には上郡町と包括連携協定を結んでいます。御社と上郡町の関係はどういったものですか?

 社「モロラボで上郡町のモロヘイヤ農家を取材した際に、町役場の産業振興課を紹介されたのです。担当の方から、モロヘイヤを育てるための休耕地の利活用の話をいただいたので、上郡町のお役に立てるなら、と協定を結び、今年は小学校の廃校を利用した工場設置の運びとなりました」

 副「現在、元図工室に洗浄機と脱水機、元保健室に乾燥機という具合に配置しています。地元で収穫されたモロヘイヤを洗浄、脱水、乾燥させ、細かくチップ化する作業まで、地元の方の手を借りて行っています」

――栄養価の高いモロヘイヤの機能性に着目して、機能性表示食品として届け出る、という可能性はありますか?

 社「検討はしています。最初はサプリではなく、『生鮮食品としての国産モロヘイヤ』での機能性表示食品の届出になるかもしれません」

――国産モロヘイヤというと、やはり上郡町のモロヘイヤで届出されるのですか。

 社「モロヘイヤ栽培は上郡町の町おこしの一環。先ほどの機能性表示食品の届出もここのものになる可能性がありますが、いまは予定とさせてください」

――同工場での原材料は、御社の製品に使われますか?

 社「その点につきましても、現在は上郡町の地域産業おこしの面が強いので、地元特産品に使われる予定ということで」

――モロヘイヤは、現在海外からの輸入ですね?

 社「1997年からモロヘイヤの故郷エジプトから熱帯モロヘイヤを輸入。その後2016年にフィリピンに自社農場を置いて安定した供給基盤を作り上げています。当社のフラッグシップ製品の『青粒』は、熱帯モロヘイヤを100%使用した、農薬不使用の完全無添加商品です。今後も安心してお客様にご利用いただけるよう、精進してまいります」

【写真左=左:永原豊大 代表取締役社長 右:永原盟千 取締役副社長 写真右=今年7月に開設した、廃校の教室を再移用した工場。製造された青粒チップは町おこし製品の材料になる予定】



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