サントリー食品 トクホ・機能性飲料 販売振るわず(2021.8.26)


上半期の売上、4%減少
 サントリー食品インターナショナル(東京都港区)が販売する特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品の飲料の動きが奮わない。同社が今月12日発表した2021年12月期上期(1~6月)連結決算説明資料によると、同期のトクホおよび機能性表示食品飲料の販売数量(出荷ベース)は約1000万ケースにとどまり、前年同期比4%のマイナスだった。同社は通期で計2230万ケースの販売を計画しており、下期での回復を迫られている。

 同社では、健康意識向上のニーズに対応するため、トクホ飲料「伊右衛門 特茶」や機能性表示食品飲料「伊右衛門プラス コレステロール対策」などを対象に、テレビCMをはじめアニメ「鬼滅の刃」とコラボしたキャンペーンなど、販促活動を強化していた。しかし結果的に、上期の販売数量は前年を下回ることになった。

 同社の公表資料によると、上期決算説明会では、アナリストから、トクホ・機能性表示食品の販売に関する今後の施策を質問された。それに対して同社は「『特茶』以外も含め、ラインナップを持っていることはプラス。新しいコミュニケーション施策も寄与している。

 健康茶は、COVID19の影響により行動様式が大きく変化した影響が大きく、回復には時間がかかっている。人の流れが戻れば徐々に回復に向かい、新しい販促施策やコミュニケーション施策がより寄与していく」と回答した。

ドリンク、コロナ禍で苦戦20年市場、5兆円下回る
 市場調査会社の調べで2020年の国内清涼飲料市場規模が前年比5.7%減少したことがわかった。新型コロナ禍による外出自粛で〝イエナカ(家中)〟需要が増加し大容量商品は好調だったが、外出先やオフィスでの飲用機会が減ったことで、コンビニエンスストアや自動販売機での販売比率が高い小容量・中容量商品の需要が縮小。機能性飲料や健康サポート飲料も、日常的な活動量の減少や宴会自粛などを受けて落ち込んだ。これにより、国内飲料市場全体の規模は4兆9748億円となり、2011年以来9年振りに5兆円を下回った。

 富士経済が今年3~5月にかけて調査し、調査結果の一部を8月19日公表した。同社の調べで700㍉㍑以上大容量商品の20年市場規模は1兆4053億円となり、前年比は0.4%の微増だった。一方、300~700㍉㍑未満の中容量商品は同7.1%減の1兆8921億円、300㍉㍑未満の小容量商品は同8.9%減の1兆6674億円と落ち込んだ。

 21年の国内清涼飲料水市場はどう推移するのか。同社では、コロナ禍は収束の見通しが依然立たないものの「前年ほどの需要の落ち込みはみられない」と指摘する。

 そのため、21年の同市場規模は前年比1.6%増の5兆551億円が見込まれるとし、5兆円台を回復すると予測。大容量商品は引き続き増加基調で推移し、中容量商品は家庭外での需要回復によって前年比3.6%増と増加に転じると見る。しかし、小容量商品については、缶商品の低迷が続き、21年も「引き続き縮小するとみられる」としている。

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