花王、原材料市場に参入 茶カテキンなど販売 届出支援も(2021.9.9)


 花王(東京都中央区)が独自開発した機能性食品素材の原材料販売に乗り出す。機能性表示食品の機能性関与成分として届出実績のある茶カテキンやコーヒー豆由来クロロゲン酸を含む食品素材を外部企業へ供給する。
 機能性表示食品の届出サポート、製品開発サポートも同社として手掛ける。すでにダイドードリンコ(大阪市北区)が採用しており、花王から供給を受けた素材(機能性関与成分)を配合したエナジー飲料の機能性表示食品が近く、発売される。

 花王が独自機能性食品素材の外部販売に踏み切る背景には、その配合商品を増やすことで事業を拡大するとともに、素材認知度を高める目的があると考えられる。だが、花王としても最終商品の販売を手掛けており、競合商品を増やす結果につながることも懸念される。いずれにせよ、原材料事業者にとっては強力な競合相手が突如現れたことになる。
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 花王は、同社のケミカル事業部を通じて、「ヘルシア」シリーズの機能性表示食品の原材料(機能性関与成分)として使用している独自ポリフェノール素材の販売および機能性表示食品の届出サポートを開始した、と今月2日に発表した。

 同社が食品素材を外部に発売するのは初。この独自素材の外部への原材料供給と同時に、これまでの同社の届出実績を背景にした機能性表示食品の届出支援に本格的に乗り出す形となる。

 原材料販売を開始した素材は、茶カテキン素材「ルナフェノンT-100」とコーヒー豆由来クロロゲン酸類素材「ルナフェノンC-100」の2製品。同社は取材に、「販売先については特に条件を設けておらず、原則的に広くパートナーを募集する」とコメントした。また、同社は前出2種のポリフェノール素材の提供から機能性表示食届出の業務サポート、製品開発サポートまで、「広範囲のソリューションサービスの提供」を行う。

 2種のポリフェノール素材は「ヘルシア」シリーズの機能性表示食品で使用実績があり、すでに機能性表示食品の届出に必要な研究レビューなどのエビデンスが、現時点ですでに用意されている。同社はこの研究レビューを提供するとともに、安全性評価や生産・製造および品質管理なども含め、円滑な機能性表示食品届出のための包括的なサポートを行う。

 また、製品開発サポートに関しては、「苦み抑制技術」「食品加工技術」「商品配合・製造・品質管理」などの提供を行うという。

 原材料販売を巡る今後の売上高目標は非公表。同社では、「当社のポリフェノール素材の機能性について、消費者認知をより広めることで、機能性表示食品『ヘルシア』ブランドとのシナジー効果を最大限に図りたい」としている。

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