健康食品 危害情報、続く3千件台 (2021.9.9)


定期トラブル増加背景に
 国民生活センターが9月2日公表した「2020年度の危害・危険情報」の取りまとめで、健康食品の摂取で疾病等の「危害」を受けたなどとする情報件数が3526件に上った。前の年度から約400件減少したが、危害情報件数全体のおよそ3割を占め、依然、高い水準にとどまっている。報告された危害の内容としては、消化器障害が最多で2207件。

 一方、国センによると、20年度の健康食品をめぐる「消費者相談」の件数は6万件超(全体で2位)に上り、前年度の約5.5万件から増加した。主にインターネット通販での定期購入に関する相談件数の増加が背景にある。

 危害情報の増加と定期購入をめぐる相談件数の増加には、明らかな相関関係がある。
 5年前、15年度の健康食品に関する危害情報件数は約900件だった。それが16年度に約1800件に倍増。17、18年度も同様の件数で推移。そして19年度に約3900件まで跳ね上がった。

 健康食品などの定期購入に関する相談件数も同様の推移を見せている。国センのまとめによれば、15年度は約6000件、翌16年度は約1万5000件と2倍超に増加した。その後17、18年度は緩やかな増加傾向で推移。そして19年度は5万件超にまで激増した。

 国センは、20年度の健康食品に関する危害情報の「事例」をこう伝えている。「スマートフォンから妊活サプリメントを購入し飲んだところ、下痢や血便の症状が出た。医師に相談したら妊活に良くない成分が含まれているといわれた。解約を申し出ると、初回のみの解約はできないと言われた」(40歳代・女性)。ネット通販の定期購入に関する相談内容として多い「解約」をめぐる苦情と同時に危害を訴えている形だ。

 20年度の危害情報における年代別の上位5商品・役務を見ると、20歳代から60歳まで1位は「健康食品」。最多は50歳代の953件、次いで40歳代の724件、30歳代の323件と続く。

 一方、70歳以上と10歳代では健康食品が2位。1位は「化粧品」だ。化粧品の20年度における危害情報件数は2661件で、健康食品に次いで多かった。化粧品のネット通販を巡っても、ここ数年、定期購入に関する相談件数が大きく増加している。


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