消費者庁 来年度概算要求に新規予算 5千万円計上 (2021.9.9)
保健機能食品制度「発展目指す」
消費者庁は2022年度の予算概算要求で、保健機能食品制度の「発展」に必要な経費として約5000万円を計上した。新規予算となる。この予算を使い、消費者および事業者の意識や課題などの把握の他、機能性などに関する科学的根拠の整理などを実施したい考えだ。
同庁では、「コロナ禍を含む社会環境の変化や健康・栄養政策の進展、科学技術の進歩」などを踏まえ、保健機能食品制度を、「消費者にとってわかりやすく、また、事業者に適切に利用される制度」に発展、充実させたい考え。
一方で、約5000万円の予算の具体的な使い道は公表していない。
同庁では、22年度予算概算要求の内容を説明する公開資料の中で、同予算の目的について、「特定保健用食品を中心とした保健機能食品制度の発展のため」と記述。このため、機能性表示食品に注力している事業者の一部に、「特定保健用食品(トクホ)を中心」の書きぶりに注目する見方が上がっている。「トクホ制度のための予算にするつもりか」などとして予算の使い道を懸念する声が出ている。
実際、トクホ制度全般を巡る検討会を同庁が来年度、立ち上げる可能性が取り沙汰されている。
そのように推測される根拠は、同庁が今年3月に公表した「特定保健用食品制度(疾病リスク低減表示)に関する検討会」の報告書だ。この検討会の委員を務めた有識者らは、報告書の結論で、「今後、必要な情報を収集しつつ、トクホ制度全般について検討されることを期待する」として消費者庁に対応を求めた。これを受けて同庁が来年度、トクホ制度を巡る調査事業を実施したり、検討会を立ち上げたりするとの観測が上がっている。
保健機能食品制度には、トクホの他にも、機能性表示食品や栄養機能食品がある。
デジタル広告対策強化へ 新規予算4千万円を要求
消費者庁は2022年度予算概算要求で、総額134億7000万円(デジタル庁一括計上分の9億5000万円を含めると144億2000万円)を求めた。21年度予算額は118億7000万円で、16億円の増額要求となる。全省庁を合わせた概算要求額は過去最大の111兆円超に上った。
消費者庁の主な政策別概算要求額を見ると、食品表示対策で約3億円、消費者表示対策で約2億2000円、消費者取引対策で約3億3000万円をそれぞれ要求。特に、消費者取引対策について大きな増額を求め、21年度予算から1億円以上の上乗せを要求した。
食品表示に関しては、保健機能食品制度の適切な運用・充実の経費として約5000万円を要求した他、デジタルツールを活用した食品表示の実用化モデルの構築などに必要な新規経費として4000万円を求めた。
消費者表示対策関連では、不当なデジタル広告対策強化のために約3000万円を新規で要求。不当レビューなどの問題に対処したい考えだ。
また、「ヘルスケア性能・効果検証体制の強化」として4000万円を求めた。これは、新型コロナウイルス感染拡大によって感染症などへの効果を標ぼうする商品の流通増加を背景にしたものとみられ、ヘルスケア関連商品の性能・効果の調査および検証体制を強化する予算に充てる。