PQQ、国内でRCT 龍泉堂が実施 論文も発表 (2021.9.23)

04龍泉堂①

論文も発表 7項目で有意差
サプリメントの原材料でミトコンドリア産生機能などが報告されているピロロキノリンキノン(PQQ)の継続摂取に伴う認知機能維持・改善効果を検証するRCT(ランダム化プラセボ比較試験)を、PQQの原材料販売を手掛ける龍泉堂(東京都豊島区)が国内で実施、このほど試験結果をまとめた論文が海外の査読付き誌に掲載された。現在、安全性を検証する動物を使った長期摂取試験を海外で、また、ヒトでの過剰摂取試験を国内で進めるとともに、機能性表示食品の機能性関与成分として届出を行える体制構築を進めている。準備が整い次第、最終商品販売会社などへの届出サポートを始める。

届出サポ 来年度早々にも
 龍泉堂は、認知機能ケア素材として海外産PQQの原材料販売を昨年2月に開始。機能性表示食品対応素材として展開していく目的で、約60名の健常な成人男女(以前に比べて物忘れが多くなったと自覚している人)を対象にしたRCTを日本国内で行っていた。

 論文は、海外誌「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・カレッジ・オブ・ニュートリション」のオンライン版に先月掲載された。

 このRCTでは、同社が原材料販売するPQQを1日あたり21.5㍉㌘、12週間継続摂取した際の認知機能に及ぼす働きを、主に認知機能測定機器「コグニトラックス」を用いて検証。物忘れなどに関するアンケートも行った。プラセボ群は結晶セルロースのみを摂取した。

 その結果、コグニトラックスのベーシックバージョンを構成する計11の認知機能評価項目のうち7項目について、プラセボ群との比較において有意な結果が認められたという。

 具体的には、総合記憶力▽言語記憶力▽総合注意力▽反応時間▽認知柔軟性▽実行機能▽運動速度──の7項目に関し、摂取開始6週間後あるいは12週間後の段階で、それぞれプラセボ群との比較で有意差が認められた。例えば、総合記憶力に関するスコア変化量を見ると、PQQ摂取群はプラセボ群に対して約5ポイント上回った。反応時間に関しては、50ポイント以上も高かった。

 「コグニトラックスを使った認知機能評価で、7つもの項目で有意差が見られたことに驚いている。大半の素材が2~3項目ではないか」と、同社の研究開発責任者は話す。

 このRCT結果を受けて同社では、PQQを機能性表示食品対応素材として今後展開していくに当たり、「記憶力」「注意力」「判断力」「認知柔軟性」といった文言を盛り込んだ認知機能領域のヘルスクレームを行える可能性があると見る。現在進めている、安全性に関するエビデンスを強化するための急性毒性試験や長期継続摂取試験(動物試験)などに関する論文を発表した後、遅くとも来年度早々から届出サポートを開始したい考えだ。

設立40周年迎える
 龍泉堂は9月16日、設立40周年を迎えた。
 同社は、前代表の八重勉氏によって1981年9月16日に設立された。

 設立からおよそ25年間は最終商品の開発・販売を中心に手掛けてきたが、2000年代半ば以降から原材料事業者の側面を強めていった。

 「安全性と機能性に関するエビデンスを備え、かつ希少性の高い素材」(同社)を選択条件とし、米国など海外発のサプリメント・健康食品向け原材料をいち早く国内市場に導入、提案してきた。『UC‐Ⅱ』(非変性Ⅱ型コラーゲン)を始め『IGOB131』(アフリカマンゴノキエキス)、『ウェルミューン』(β‐グルカン含有パン酵母抽出物)──などが現在の同社を代表する素材。『オプテイン120』(オニオン・パンプキンエキス末)など日本国産素材もある。

 現代表の塩島由晃氏(=写真)は11年4月に就任した。原材料事業の更なる拡大に努める方針を掲げ、15年以降は、機能性表示食品制度への対応に注力。非変性Ⅱ型コラーゲン、エラグ酸(アフリカマンゴノキ)の2素材を機能性表示食品のステージに引き上げ、中小から大手まで届出サポートを提供できるようにした。第3弾素材はPQQとなる見通し。

 塩島代表は龍泉堂の今後について、最終製品販売事業を改めて強化し、原材料販売事業との両輪で一層の業容拡大を図る方針を示している。

【写真=龍泉堂 塩島由晃 代表取締役社長】



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